熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

2016年映画ベスト(作品部門)

あけましておめでとうございます。
昨年漸く動かし始めたブログではありましたが、月に一度以下の更新率という超低速を記録しています。
今年はせめて月に一本以上書けたらいいな、ということを目標にしていきたいと思います。

 

映画界隈としては、本日はゴールデングローブ賞の発表があったと思いますが、まだ結果を観ていません。
司会が私の愛するジミー・ファロンだったので、授賞式を完全版で観るまでは、お預けにしようと思っています。
そのため、私がGG賞を観るまではTwitterも開かないつもりです。

だからと言っちゃあなんですが、まだ出していなかった去年の映画ベストを出したいと思います。
別に出さなくてもいいんですけど、単に私が好きだ!ということを連ねるだけですので。

 

 新作編

1位:レヴェナント 蘇りし者

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やっぱりこれが今年の一番です。
艶めかしいほどに美しく撮られた、押し寄せてくる雪や水などの圧倒的な自然の中で、迸る生命の火に人間を観た。
ぞっとするほどの息遣い、雪山の凍るような空気、画面の隅々まで生命力で満ち溢れていた。
劇場で観たのにこんなに後悔した作品もなかった。極上の環境で何度でも観たい、と思ってしまったのに、後の祭りだった。THXも爆音上映もやってたのに全て見逃したことを未だに悔やんでいる。
駆け込みでIMAX上映に行けたのが救いだったけれど、どうして初日に行かなかったんだよ本当。
映像も音楽も復讐譚としても人間を描いた作品としてもこんなにも観客を呆然とさせて殺しにかかってくる映画早々お目にかかれません。というわけでこれが一番。

 

 

2位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

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観終わって今年ベストでは!?と叫んで色々調べてしまったのが良くなかった。どうしても引っかかる点があって。
それでもやっぱり好きだと思い返せば返すほど、ぐっと来てしまう、そんな一作。
実はスター・ウォーズシリーズにはそんなに思い入れがなくて、本編7作は全部観ているし割と好きだが「これが人生だ!」とかとても言えない。でもこれは一本の映画としても、スター・ウォーズサーガの一遍としても素晴らしかった。よっぽど父の方がスター・ウォーザーだったのに、そのへんはまったく娘に教育してこなかったとか、まあその辺りは別の話。
フォースが使えなくても、互いをろくに知らなくても、相手が絶望的に兄弟でも、同じ目的のために、何度も何度も、諦めずに小さなことでも進み続けていく。そうすることで紡がれる希望が途絶えずに、次の世代へ繋がっていく。細い糸のように頼りなくても、誰かが受け取れば、きっと希望は大きく花開く。
ジンが反乱軍の前で語るシーンと、貨物船に乗り込んでからのシーンは全部好き。
あとマッツ・ミケルセンがズルすぎてなんかもう出てきたら延々と泣いてしまった。

3位:シング・ストリート 未来へのうた

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間違いなく今年の一本であり、生涯の一本にもなった。
2016年、めちゃくちゃ期待値を上げて、その期待値を更に上回っていったのはこれ一本だけかもしれない。
高校生が自分の殻を打ち破って思い切り駆け抜ける、原石のような輝きがキラキラとぶつかり合って奏でてる音楽が爽やかで胸に来てどうしようもなく泣けてきた。
登場人物が誰も彼も愛おしすぎて仕方なかったのだけれども、あまりにも自分が主人公の兄であるブレンダンと重なってしまって、それでものすごく泣いていたのも事実。刺さった、あのキャラ、今年一番感情移入した…
劇中歌の「Drive It Like You Stole It」と、流れるシーンは、間違いなく今年一番の傑作。

 

 


4位:プリースト 悪魔を葬る者

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まさかこんなに好きになるとは思っていなかった。
私が今年観たかった、本物のヒーローはこの映画にいました。
孤独なヒーローが世界の誰からも認められていなくても、自分のやるべきことを全うしようとする様にぐっときたし、唯一知る青年は逃げ出した過去を乗り越えて、今度は逃げない選択をして隣に立つ…こんな最高のバディでヒーロー、他に知らない。
いきなりイタリア語から始まり、韓国映画カトリック?と最初馴染みのない世界に驚いたのですが、これがうまく現代の中に溶け込んでいて悪魔祓いという話が物凄く上手に現実と重なっていた。

 

 

5位:スター・トレックBEYOND

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 ローグ・ワンが過去から手渡されたバトンだとしたら、今作が過去を引き継いで生み出した未来の理想郷の一つだ。
シリーズ当初では子供だったキャプテンが、大人ならではの責任感や、苦悩していた姿にクリス・パインの演じ方がどんどん良くなってきたなあと感慨深くなっていた。けれど決してシリアスになりすぎず、軽やかにアクションやコミカルさも含めて描いているの、本当に大好き!
ヨークタウンのシーンでは、音楽と人々の生活の営みに「こんな未来があればいいのに」といつも泣いてしまう。
クルーたちの掛け合いがよくて、特に全員でポンポンと自分たちの知恵を掛け合って一つの結論に結びつき、ぶちかますシーンは最高でした。自分の力量と仕事をきっちりとこなす、格好いい大人たちの映画だった。
このメンバーが最高。最高だから、次の話は考えたくない。

 

 

6位:ベストセラー 編集者パーキンスに捧ぐ

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 出会うべくして出会った、編集者と作家という二人の男の友情であり仕事であり人生の作品。
こちらも仕事映画であるし、その道のプロ故ののめり込み方だけど、仕事を超えて人生の全てを投げ打ってでも燃える情熱にこちらまで焦がされそうだった。
目に見える形の激しさを作家トマス・ウルフが、端から観れば冷静なのにその実胸の内に秘める情熱は誰よりも強い編集者マックス・パーキンスが、それぞれ正反対に互いに必要としている様は美しいとしか言いようがなかった。
ラストまで観て、この映画と二人の“完璧”さに打ちひしがれた。ラストは泣いて泣いて泣いて、打ち寄せる波に呆然とする他なかった。

 

7位:10クローバーフィールド・レーン

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クローバーフィールド/HAKAISHA』の続編なのだが、何なら前作を観ないでこの作品を観た方が面白いと思う。
それくらい何も知らないで観るのが良いと思います。
観ている間、ずっと息を止めたり、飲んだり、大変ドキドキする映画です。
そしてダクトテープはいつだって最高、というダクトテープ映画でもある。
こんなに力強くて面白い作品になるとは思わなかった。主人公が格好良くて、ああなりたいと思う。

 

 

 

8位:クリード チャンプを継ぐ男

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去年の正月に観た映画だったので人によっては2015年の映画だとは思うのだけれど、まあ最高としか言いようがないスタートを切れたのはこの映画のお陰。過去があるからこそ今がある。
人の思いは繋げよう、と思わないと繋がらない。でも思いがあれば繋がっていく。そして立ち上がって、挑戦し続けるのも自分の意志。ああー格好いい、ひたすら格好いい。序盤の、プロジェクターでYoutubeの映像に自分を重ね合わせたアドニスに、もうあれだけで持って行かれた。

  

 

9位:キャロル

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雰囲気も衣装も二人も大好き。出会いも逃避行も刹那的なようで、しかしそれが人生において大事な瞬間がいくつも重なっていく。何もかもが渾身の写真のアルバムのようで、そこに入った傷さえも愛おしかった。

女性同士ということを除けば、なんてことない話かもしれない。しかしそのなんてことない二人の恋愛が、愛おしくて大好きだった。それに、それでも1950年代の二人があのラストを選んでくれたことが私にとっての福音だった。
何度も繰り返し繰り返し観ては、「好き…」と溜め息を吐きたい、そんな感じ。

 

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10位:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

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こんなに面白いとは思わなかった作品第一位かもしれない。
なぜなら私とザック・スナイダー監督はまっっったくもって肌が合わない。
序盤のケレン味と格好良さは相変わらず、しかし面白さが全く失速しないまま終わってしまったので、本当に私は今この映画を観ていたのか分からなくなった。前作の『マン・オブ・スティール』は嫌いじゃない、が、もうちょっと色々どうにかしてくれ、と思っていた。
特にベン・アフレックバットマンがこんなに良くなるとは思っていなくって、ずっと心がブルースに寄り添ったままだった。だからこそ、最後の二人が理解し合うシーンがぐっとくる。
ヴィランレックス・ルーサーもとても良かった。気が狂ったような喋り方と実行してしまえる、自分ですら懐柔できていなさそうな狂気が大変似合っていた。
しかし何よりワンダー・ウーマンが格好良すぎる。ワンダー・ウーマンも、ジャスティス・リーグも、とても楽しみになった。

 

 

旧作編

(劇場で観た作品のみとする)

君が生きた証(+アントンオールナイト作品)
戦場のメリークリスマス
ノスタルジア
アイム・ノット・ゼア
スーパー8
つぐない
地獄の黙示録
バトルシップ
オン・ザ・ロード
インセプション(IMAX)
X-MEN ファースト・ジェネレーション

 

映画祭編

特別賞:ネオン・デーモン(2017年公開作のため)

メコン大作戦
ネイバーズ2
ミステリアス・スキン
メン&CHICKEN
年下のカレ
リビング・デッド
愛と死の谷
グリーン・ルーム
ヴィクトリア
シェッド・スキン・パパ

 

以上2016年映画ベストでした。

全体を通して考えると、意志の強さと過去からの繋がりと、未来への展望みたいな所にぐっと来ているのかな、と思う。
2017年はどんな映画に出逢えるかな、と思っていますが、現在腰を痛めてまだ新作を一本も観れていなくて発狂しそうになっている。早く映画観たい。