熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

映画『未来を花束にして』と投票日に思うこと

台風が秋雨前線によってパワーアップされ、全国で猛威を奮っている中、皆様お元気ですか。
中には海外から日本に帰れなさそうな方の話まで聞いてハラハラしている。
そんな本日は衆議院議員総選挙最高裁判所裁判官国民審査投票日だ。
〆切が午後8時なので、実際あと30分ほどだ。
お住いの地域の天候にもよるけれど、まだ行ってないや、という方はまだ間に合いますので是非どうぞ。
自宅に届いた紙持ってないやって方でも身分証明証持ってたりすればなんとかなる。

まあなんだってそんな話、と思う方もいるだろうけれど、去年の参議院選挙でもブログを書いてたので久々に書こうと筆を取った。
しかし前回「期日前投票しておけばよかった」と書いてるのに相変わらず当日まで待ってしまっていた。
こんな天候になると分かっていたのに、何故俺はまた同じ過ちを……

(前回のブログ:「選挙」で思い浮かぶあれやこれや - 熱に羽化されて)

 

今、日本では18歳から男女ともに参政権が与えられる。
しかし、数年前までは選挙権は20歳からの権利だった。
そして、1945年までは男性しか許されない権利だった。

こんなこと、今まで考えたこともなかった。
二十歳になったら選挙は参加した方がいい。政治に関われる一番の権利の試行だから、とは考えていたので、選挙はすべて参加している。
でも改めて「毎回きちんと参加しよう。たかが一票だなんて思わないで、ちゃんと自分の意志を表明しよう」と思えたのは、今年の3月にジャック&ベティで観た、『未来を花束にして』という映画のお陰である。

 

映画『未来を花束にして』は、2015年イギリス公開作品だ。
日本では一年以上公開が遅れた上に、タイトルがあまりに映画の内容にそぐわないと炎上していたことで記憶している人もいるだろう。
この映画の原題は『Suffragette(サフラジェット)』。直訳すると婦人参政権論者という意味になる。
1910年代のイギリスが舞台で、当時女性には与えられていなかった選挙権を得ようと闘った女性たちのお話である。

日本版の予告を観てみると、ヒューマンドラマっぽい、ふんわりとした涙と感動が浮かび上がってくる印象になっている。
しかし実際に観てみると分かるのだけれど、この映画に描かれているのは、抑制されることに対しての怒り、対話の機会さえ与えられず無視され続けることへの不満、人間扱いされないことに対しての反乱だった。
彼女たちは無視され続ける声を届けるために、武力行使さえ厭わない。
それに対する政府の弾圧もえげつない。殴る蹴るは当たり前、凄惨なシーンがいくつもある。
これらが実際に行われていたと分かった上で観ていたが、それでも観ていて辛かった。

彼女たちは別に特権を欲しがっていたわけではない。
社会で生きていく人間として、当たり前の権利を求めていただけだ。
ここに出てくる彼女たちは、低賃金で長時間労働を強いられている。
男性と同じだけの仕事をしているのに、賃金は男性より低い。ただ女性というだけで。
そして政治に対して「女には政治は分からない」と言われ、参政権は得られない。

最後まで観ると分かるが、人が死んだことでようやく女性は権利を得るための一歩を進む。
ここまで闘ってきたのだ、と思う。

もし観ていない方がいたら、是非観て欲しいと思う。
女性も男性も。過去にこんなことがあって、今があるということを知るのにはうってつけだと思う。

 

今、私は選挙に参加するために郵便ポストに火炎瓶を投げ入れたり、襲撃したりする必要はない。
日本でもまた、女性に参政権を得るため、活動をしていた女性たちがいたことを思い出す。
あの時は受験勉強のために詰め込んだ歴史的な人物たちだったけれど、今考えると、彼女たちの名前から、何を辿れるだろうか考える。日本のサフラジェットたち、ありがとう、とも。

 

最近、西暦にして2017年だよね?21世紀なんだよね?と思うような出来事が次々に起こっている。
その問題は20世紀で話し合いをされてよくないことだとされたよね、というようなことを、つい最近見かけたりしてげんなりすることが増えていた。
権利は主張し、行使し続けないと、すぐに悪いことを考えている誰かに掠め取られてしまったり、いいように扱われてしまう。

だからそうならないためにも、まずは手始めとして選挙に参加しようじゃないか、という話。

 

なんだか妙に政治の話になってしまったが、映画をきっかけに今の自分の状況を考えられるのは、ありがたいことだ。
普段は当たり前のこととして、忘れてしまっているから。

 

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 日本ではBlu-rayが出てないの、悲しい…