熱に羽化されて

はとです。好きすぎてこじらせたうわ言です

予習すべきか、しないべきか(ロズギル私的まとめと関連作品紹介)

舞台『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』初日おめでとうございます!!!!!
今年の3月にロンドンで観劇後「日本語で観た~い!」とダダをこねてた数ヶ月後、まさか本当に観られることになるとは思いませんでした…もうとっても嬉しいー!ありがとうー!

しかし多くの人が「で、これはどういう話なの?」と思っているのではないでしょうか。
正直私もタイトルは聞いたことがあったんですが、作者の人は誰?シェイクスピア…じゃない?という状態でした。折角海外まで観に行って内容がちんぷんかんぷんなのはあまりにも…悲しい…
と思った私は色々観たり読んだりしてお芝居に挑みました。初の全編英語劇。

結論から言うと

「英語だろうと日本語だろうと、予習した方が楽しめる!」

なぜならこのお芝居、知ってる前提の話があったり、とにかく台詞が多かったりするからです。

しかしそもそも『ロズギル』だけ読めばいいの?ハムレットがなんで出て来るの?と思ってる方も多いと思います。
というわけで、渡英した時に予習に使ったものや、私自身のまとめなどを自分の復習のため、そしてこれから観るけどあんまり知らないなあという方のために載せておきたいと思います。
ネタバレ全開なのでご注意。
(そもそもこのタイトル自体が、ハムレットのネタバレと言えばネタバレなのですが…)

 

 

 

予習編(復習にも応用可)

読む

まずは、何も言わずにこれを買ってください。

トム・ストッパード (3) ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ (ハヤカワ演劇文庫 42)

トム・ストッパード (3) ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ (ハヤカワ演劇文庫 42)

 

いや読まないよ!という人も、出来れば、出来れば、買って欲しい…

というのも、もう何年も前からロズギルは絶版になっており、古本で買うか図書館で借りるかという二択しかなかったのです。
それが今回の舞台の上映のお陰で新板として発売!ありがとう早川書房ハヤカワ演劇文庫様!
何より注目なのが、小川絵梨子さんの新訳。
そう、今回の舞台で演出をされる方の訳ということは、ほぼ台詞まんまであるということ!
言い回しが似ていると、頭に入りやすいと思います。おすすめの一冊です。

 

ロズギルだけでは心配な方は、『ハムレット』も読むと更に世界が深まると思います。
今作の『ロズギル』では描かれない話やキャラクターのことも分かります。特にオフィーリア周りはロズギルではあまりフォーカスされないので、ハムレットの方が断然分かりやすいです。

また、どこかで聞いたことのある台詞も沢山出てくるので、「あの作品で言ってたのはこれの引用だったのかー!」という発見もあったりします。

色んな方の翻訳が出ており、読み比べていないので何とも言えませんが、河合祥一郎さんの訳は数年前に野村萬斎さんがハムレットを演じた時の脚本として新たに訳されたものなので、一番新しいです。
また、先程紹介したロズギル本では解説も書かれています。

 

新訳 ハムレット (角川文庫)

新訳 ハムレット (角川文庫)

 

 

私が読んだのは福田恆存訳版だったような気がします。
こちらも読みやすかったと思いますが、人それぞれなので自分に合いそうなものを手にとってくださいませ。

ハムレット(新潮文庫)

ハムレット(新潮文庫)

 

 

岩波文庫版が脚注など解説が多くてオススメという話を聞いたので、こちらも載せておきます。

 

ハムレット (ワイド版岩波文庫)

ハムレット (ワイド版岩波文庫)

 

 

 

本当は漫画で読めるハムレット!とかきっとあると思うのですが、私が門外漢なものでそこら辺はまったく紹介出来ないのでした…すみません…もっと分かりやすい簡略版もきっと世の中には沢山ある筈です… 

 

観る

最初に謝っておきますが、こちらに関しては私自身があまり観れていない部分があるので紹介が非常に偏っています…ごめんなさい…


ロズギルって映画あるんでしょ?それ見ればオッケー!と思うかもしれません。確かに賛成なのですが、日本では現在DVDが絶版しており超高騰化。
TSUTAYAにはVHS版しか出ていないというかなり厳しい状況です*1

レンタル・販売 在庫検索 - TSUTAYA 店舗情報

 

ちょっと聞いてないんですけど!観たいよ!と思った貴方はどうか販売元のポニーキャニオン様に再販の希望出していただけると幸いです。
私も再販して欲しい…日本語字幕で改めて観せてほしい…ポニーキャニオン様、何卒!

 

ちなみに私はDVDを所持している友人がいたので、日本語字幕版を見せてもらいました。
面白かったしロズとギルがとにかくかわいいです。ゲイリー・オールドマン(ハリポタのシリウス・ブラック役)とティム・ロスの若かりし頃、最高…

 

ハムレットの映画化作品はいくつもあります。
有名なのはローレンス・オリヴィエ版とケネス・ブラナー版でしょうか。どちらも超名優の代表作です。

 こちらケネス・ブラナー版のハムレットです。戯曲の台詞を一切削らずに上演されたという凄まじい気合の入った一作!上映時間が4時間もの大作になっております。

ハムレット [Blu-ray]

ハムレット [Blu-ray]

 

 

ちょっと最初に観るのには詳しすぎるなあ、と思った方には、現在Netflixメル・ギブソンが主演のバージョンもあるので、そちらも良いかもしれません。
こちらは2時間14分なので見やすそう。デンマークの城ってイメージ沸かない…という方には、手っ取り早く作品の舞台の雰囲気などがつかめるかと思います。

 

また、お芝居を観るというのも一つの手段です。
ハムレット』なら最近では日本でも内野聖陽主演で上演されました。学生劇から大劇場まで、幅広く愛される題材です。探すと意外と近くで上演されていたりするかもしれません。

ちなみに今年3月のロンドンでは、『ロズギル』と『ハムレット』が同時期に上演されていたという夢のような場所になっていました。『ハムレット』を演じていたのはアンドリュー・スコット

 

また、たまに映画館で海外の舞台を字幕付きで上映する【ナショナル・シアター・ライブ】(通称NTL、NTLive等)という企画で『ハムレット』が上映されていることがあります。
これまでローリー・キニア主演と、ベネディクト・カンバーバッチ主演の二作品のハムレットの上映がありました。

また、ロズギルの作者トム・ストッパードが手がけた戯曲『ハード・プロブレム』も上映したことがあります。


海外の舞台を日本で観れるという貴重な企画ですので、もしお近くでやっていましたら是非観てみてください。

www.ntlive.jp

 

かなり時期が限られている企画ですが、たまにアンコール上映もやっています。
TwitterかFBの情報が早いかもしれません。

今年ロンドンで上演したロズギルも、来年のNTLで日本で上映してくれたらと願っています。(これも公式にお願いしたい案件です…笑)


以上、かなり偏ったロズギル・ハムレット関連の作品についての紹介です。
予習と書きましたが、すべて復習としても大いに活用できると思います。
観る前にも、観終わった後でも、どちらでもより世界が広がると思います。

 

あらすじ・まとめ編

以下は、私なりのまとめになっています。
この記事を書いている現在、私は生田斗真菅田将暉版小川絵梨子演出のロズギルは観ていません


『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』とは?

世界で一番有名な劇作家シェイクスピア作『ハムレット』のスピンオフ。
ハムレット』の登場人物でも出番の少ないキャラクター「ローゼンクランツ」と「ギルデンスターン」にスポットを当てた作品です。
作者はチェコ生まれのイギリス人トム・ストッパードで、舞台の初演は1966年です。なのでロズギルは、ハムレットが誕生してから約235年くらい後に作られたお話になります。
1990年にはトム・ストッパード本人により映画化もされています。
これまで何度も舞台が上演されている、トム・ストッパードの戯曲の中でも人気の作品です。

最近では、今年の2月からロンドンでダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)とジョシュ・マグワイアが主演でこの『ロズギル』が上映されました。(私はこれを観ています)
日本でも以前生瀬勝久さんと古田新太さんで上演されたらしいです。
また、ハムレットとロズギルの二本立てで、ハムレットが長谷川純さん主演で上映されたこともあるとのこと。この時はロズとギルは日替わりで入れ替えキャストだったとか*2
こんな試みもあったり面白そう。


ハムレット』あらすじと『ロズギル』の関わり

前述した通り、このロズギルは舞台『ハムレット』の話を、ロズとギルの二人の視点から見るとどうなるか、という話です。
ハムレットでは描かれていない部分が新たに創作されており、かなりの部分が創作のエピソードとなっていますが、辿る筋書きは同じです。
なのでまずは『ハムレット』のあらすじを知っておくと、この話がつかみやすくなると思います。
以下のあらすじというかあらましはWikipediaより細かく*3、そして最後まで書いています。
ロズギル的に書いておいた方がいいなーと思ったエピソードがWikiになかったので細かめです。
今更ですが、ハムレットデンマーク王子です。主人公がそのままタイトルになっています。


ハムレットの父である国王が突然亡くなってしてしまった事から話はスタートします。
国王の弟、ハムレットの叔父であるクローディアスが王座に就くのですが、その際にハムレットの母であるガートルードとクローディアスが結婚します。
突然父が死んだ上に、いきなり叔父が父になり、母親は何考えてるのか…と哀しみと混乱の中にいるハムレットの元に、友人ホレイショーから恐ろしい噂を聞きます。
父親、つまり前国王が夜な夜な城に化けて出ているらしい。
事実を確かめようとするハムレット。すると父の亡霊がハムレットの前に現れ

「自分はただ死んだのではない。弟(ハムレットの叔父、つまり現国王)に殺された」と言うのです。
ハムレットは真偽を確かめ、本当ならば叔父に復讐することを決意します。そのためにハムレットは「気が狂った」という“演技”をすることにします。

 

突然気が狂ったハムレットに、王も王妃も誰もが困惑します。
宰相*4であるポローニアスは、自分の娘であるオフィーリアとハムレットがいい仲であることから、オフィーリアへの恋心で狂ったのではないかと推測します。
そのためにオフィーリアを使って王と宰相はハムレットを探るのですが、気が狂った演技をしているハムレットは、オフィーリアにきつく当たります。
以前は優しくて賢いハムレットだったのに、今はわけの分からないことを叫び、自分が話している相手も誰だか分からないような口ぶりです。

おかしい、けれどどうしてかは分からない。

この狂気の原因を探すために、王はハムレットの学生時代の友人であった「ローゼンクランツ」と「ギルデンスターン」を呼び出します。
ハムレットに探りを入れるロズとギルですが、しかしハムレットはこの二人にも同じく冷たく当たります。

(ちなみにここ、学生時代の友人だったのでは…?と思うくらいの冷たい当たりっぷり。王様の差し金だろうと疑っているからなのですが、それでもホレイショーの方がよっぽど友人だぞ、と思います)

ロズギルから以前ハムレットも会った旅芸人が来ているから、気晴らしにお芝居でも楽しむといいと伝えられると、ハムレットは掌を返すように喜びます。
そして旅芸人の一座が来ると、ハムレットは座長に、前王を殺して王座についた男の話を、更に王クローディアスそっくりになるよう脚本を書き加えた上で演じるように頼みます。これを王の前で上演して反応を観ようという試みを企てます。

これを観た王は、真っ青になって舞台の途中で上演を止めてしまいます。
これこそ前王を殺したのが王クローディアスであるとハムレットは確信します。
その後、いい加減にしろとハムレットは母から叱られている最中、話を陰で聞いていた宰相ポローニアスを誤って殺してしまいます。

王子が殺人を犯したこと、そして自分の真実を知っていそうな気配に気づいたクローディアスは、ハムレットイングランドに追いやることにします。
そのお供につくのがロズギルなのですが、二人は王からイングランド王宛の手紙を託されます。
この手紙には「イングランドに着いたら、二人が連れてきた男(ハムレット)を殺すように」という命令が書かれていました。
しかし、ハムレットはこの事に気が付き、ロズギルの二人を出し抜いて、デンマークへ戻ります。

 

一方デンマークでは、国外に留学していた宰相ポローニアスの息子、レアティーズが戻って国王に怒っています。また、ポローニアスのもう一人の子供であり、レアティーズの妹でもあるオフィーリアは、度重なる哀しみに気が狂ってしまい、溺れ死んでしまいます。
そんな中帰国するハムレット。クローディアスは危機を感じます。現在のデンマークは、隣国のノルウェーとも戦の一歩手前のような状態になっており、そんな状態で危険なハムレットを野放しにしておくわけにはいきません。
そこでクローディアスは、レアティーズの怒りをハムレットに向けるように仕組みます。

レアティーズとハムレットは試合をすることになるのですが、そこでハムレットを殺そうと企みます。ハムレットの父にしたのと同じように、殺人には見えない殺し方で。
そして結局その試合の最中に、飲み物の毒や剣に塗られた毒で、王、王妃、レアティーズ、ハムレットが皆死んでしまいます。
ただ一人ハムレットの友人ホレイショーがこの悲劇の全貌を知っており、語り継ぐことをハムレットに誓います。
最後に死体だらけの玉座に現れ、ホレイショーと会話をするノルウェーの王子フォーティンブラスが「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」と告げて、舞台は幕を下ろします。

 


すみません全然まとまらなかった!
出来れば本読んだり舞台観たりしてくださいごめんなさい!

私がピックアップしたかったのは、途中で出て来るこの旅芸人の一座です。
この座長が、ロズギルでは大事な役どころになります。
理由は観れば分かるのですが、運命にあたふたするロズとギルに対し、彼はここが舞台であるということを指し示す、狂言回しのような存在になっているからです。

 

ハムレットにおけるロズギルは学生時代の友人ではありますが、王の手先であり、途中で何にも描かれず、時折姿を見せては消え、そして最後はどうやら死んだらしい、ということしか分かりません。

その二人が自分の運命とはなんぞや?ということに気づかないまま、意味のない膨大な言葉遊びをしている内に死に向かっていくのが『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という作品です。

『ロズギル』ではコインの「表」と「裏」がしつこく登場しますが、これはロズギルがハムレットという作品の「裏」であったり、ロズとギルの二人の存在がコインのような表裏一体であったり、様々なことを指し示しています。

そういった「表」と「裏」、そして「ローゼンクランツ」と「ギルデンスターン」の存在を感じながら観ると、よりいっそう楽しめるかもしれません。

 


『ロズギル』は悲劇ではない

ハムレット』はシェイクスピア作品の中でも「四代悲劇*5」と言われる一作です。

しかしこのスピンオフである『ロズギル』は、悲劇というよりもブラックコメディという位置づけになっています。

だってめちゃくちゃ笑えるから。

ハムレット』では殆ど描かれていない二人が、話が進んでいる間に何をしているかは描かれています。
とにかく主演の二人は出ずっぱり、そして台詞の量が多いのが特徴です。
現時点で生田&菅田版のロズギルは観てないのでなんとも言えないのですが、この特徴は恐らく変わりません。

この二人の掛け合いがとにかく面白い。

ローゼンクランツとギルデンスターンは、『ハムレット』では王に名前を間違えられるシーンがあります。
『ロズギル』は更にそこからひねって、自分たちですらどっちがどっちなのか分からなくなってしまいます。
アイデンティティさえぼんやりとした二人の、意味のあるようなないような話が、混乱とおかしさを誘います。
観念や哲学など難しい話も多々出てきますが、それ以上に身体を動かし、言葉だけでなくても笑いを誘うシーンが多いです。

二人の運命は決まっているので、最後はどうしてもしんみりしてしまいますが、それでも翻弄されまくっている二人にどうにもおかしさがこみ上げてくる。観終わった頃には愚かな二人に対して憎めない愛しさが沸いてくると思います。

元々演じている俳優さんが好きな方は、余計に好きになってしまうと思います。私がそうだったので。

 

終わりに

舞台、特にシェイクスピア関連作は、この400年間の間に何度も上演され、またトム・ストッパードが描いたような派生作品も沢山生まれています。
一つ作品を観たら、もしかしたら「今度は違う人が演じているバージョンが観たい」と思うかもしれませんし「元ネタになっている作品の公演を観てみたい」となるかもしれません。また、「主演の俳優の他の演技が観たい!」や「この作品に出ていたあの役者さんの他の作品も観てみたい」と思うかもしれません。
そうなった時に、貴方の世界がもっと拡がりますように。
そしてこの記事が少しでも役に立てれば幸いです。

もしこの作品があなたに合わなかったとしても、他の作品やコンテンツで、貴方が楽しいと思えるものに巡り合えること祈っています。
観たいと思った方が、出来るだけ多く観れますように。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

とりあえずNTLジャパン様、去年ロンドンのOld Vicで上演したダニエル・ラドクリフ&・ジョシュ・マグワイア『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を来年あたり日本で上映してください!
絶対今回の生田斗真菅田将暉版と比較して観たいって人が増えるから!お願い!

   

www.siscompany.com

 

 

 

余談
 

 今回のタイトルは『ハムレット』の最も有名な台詞

To be, or not to be.
That is question.
(生きるべきか、死ぬべきか。
それが問題だ。)

からです。

 

それにしたって今回に限らず、舞台のチケットを高額転売している輩は
紛れもなくnot to beですし、
ローゼンクランツとギルデンスターンよりも辛くて苦しく、
最後には同じ運命に遭いますように。

 

 

 

*1:都内だと以前代官山か渋谷にあった気がしたのですが、今検索したら出てこなかったので各自確認お願いします。

*2:https://www.oricon.co.jp/news/87859/full/

*3:ハムレット - Wikipedia

*4:総理大臣みたいな役職

*5:ちなみに残り3作品は『ロミオとジュリエット』『リア王』『オセロー』です。オセローは今度の11月の三連休に東京芸術劇場で上演されますね!