久々に知らん顔して週報を書く。そんなことがあってもいいよね。過去のことを忘れたわけじゃあございませんけども。
ここのところ映画を観たり気晴らしをしている以外ずっと気分が落ち込んでいて、月曜の夜、色々迷った末に春ねむりの新曲視聴会が目に入った瞬間にチケットという名のドリンク代を確保していた。憂鬱になればなるほど聞ける音楽が狭まってきてしまい、最終的には春ねむりとSyrup16g とちょっとだけa flood of circle …みたいな有り様になってしまうけど、その3歩くらい手前だった。 渋谷の地下にある小さなライブハウスに、開始からちょっと遅れて到着すると、まだ視聴会は始まっていなくて春ねむりがステージで喋っている最中だった。受付でチケットを見せると、ドリンクチケットと視聴会のために歌詞を印刷された紙計4枚を渡してくれた。仕事が押していて、ここに来る前にCDショップに寄れなかったのでありがたい配慮だった。 このライブハウスの人がとても丁寧で、注文出来るドリンクには様々な種類があることと、交換のタイミングはいつでもよいことなどを教えてくれた。ライブハウスって基本的には知ってんだろのノリで来るし、私ももう15年以上出入りしているのでその店限りの特殊ルールでなければ作法は知っているのだが、そのホスピタリティに感動してしまった。FS. music salonというライブハウスです。しかしこういうとこ媒体によって表記が微妙に異なるので、どれが正式名称なのか分かりにくい。
スタンディングでみんなで歌詞を見ながら数曲ずつ視聴、終わってから裏話や製作期間などを、春ねむりとマネージャーが喋る形式だった。 数曲は既にデジタルリリ ースされており、MVも制作されていたり、ライブで聞いていたりしたので既に耳馴染みのあるものも多かったが、新作は当然ながら初めて聞く。本人が歌わずに一緒に聞く環境が面白かった。しかも、「こっちで聞きたい!」とステージから降りて客席で一緒に聞いていたのも、一緒に体感していたのがなかなかないことだと隣で揺れている春さんの空気を感じながら聞いていた。
春ねむりの曲は、今回のアルバムは特に讃美歌や祈りに近いものだなと思った。ソニー から離れて、完全にインディペンデントアーティストとなってから、歌詞がより具体性を帯びる一方で、音楽の種類はどんどん壮大になっていっている。社会のシステムにすり潰されている人への怒りは歌という祈りとなって現れる。 曲によっては数年間曲だけ出来ていて、歌詞がなかなかつけられなかったものがあることや、宅録 だったなど、一筋縄ではいかない制作の話を聞けて面白かった。ソニーミュージック に在籍していた頃の話がおかしくて笑った。 途中で本人から「普段ラップとかポエトリーリーディング が多いから、メロディーを歌う春ねむりはどうですか?」という問い掛けがあったが、こちらからし てみればアーティストだと思っているので、表現の幅の広さを聞かせてくれてありがとう、という感想にしかならない。歌おうが囁こうがラップしようが、自分のやりたいことをやってほしいと願う。 この日私はライブの時につける耳栓を忘れるという痛恨のミスをしていたが、位置が良かったのか、ライブハウスの調整が良かったのか、かなり大きい音だったけど耳が痛くならなくてホッとした。みんな、ライブには耳栓つけた方がいいよ。 質問があれば挙手して質問出来たので、僭越ながら私も気になっていたことを尋ねた。楽曲の加工の仕方についてだったのだが、思っていた以上にすべてを教えてくれてありがたかった。 私以外にも質問する人は多く、「この曲のここについてなのですが〜」と質問者がする度に、他の観客が紙をめくる音が響いていて、「なんか講義みたいだね」と言っていた春ねむりは、なんと今歌詞をもっと書けるようにと通信大学に通っている話をしていた。私の周りにも通信大学に通っている人が何人かおり、学び続ける姿勢に感服してしまうのだが、今回も例に漏れず感服していた。私はすぐサボってしまうので……
全曲聞いてから、話題になっていたIGMFとsymposiumの2曲を歌ってくれた。今回のアルバムで公開されている曲中ではsymposiumが一番好きだったので、嬉しかった。春ねむりのライブ、とにかく本人もフロアも踊るので、音に反応して身体を揺らす体験が楽しい。 ぼんやりしながら帰っていたら、試写会帰りの友達とばったり遭遇した。映画の感想を聞いたり、ライブハウスがそこにあるんだよみたいな話をちょっとしてから別れた。明日休みだったらどこか入って本格的に話し込んでいたかもしれないが、非情にもまだ火曜日だった。 春ねむり、ここから8/8にリリースイベントがあったり、アメリ カツアーの後には珍しく国内で全国ツアーがあるので、気になる人は覗いてみてほしい。
木曜深夜に、春ねむりがIGMFの歌詞を一部書き換えた、という投稿をしていた。怒りによって生み出された曲が、批判を耳に傾けてすぐさま形を変えると言う彼女の柔軟性に泣きたくなった。と同時に、誰も完璧ではないという事実を改めて思う。かなり先進的に発信してくれる彼女でも足りない部分はある。当たり前だ。でもこうやって試行錯誤してくれる人に希望を見出してしまうよ。
金曜日に「デマと差別が蔓延する社会を許しません 街頭宣伝」を新宿でやっていて、スピーチ以外に春ねむりがライブするのもあり、その様子を配信で見ていた。都内に出るのが平日は出社スケジュール次第な所があるため、ツイデモと配信に頼ることにした。途中から見ていたのだが、お茶の水女子大学 の方々のパワフルなスピーチと、高井ゆと里さんの祈りに心打たれた。春ねむりのライブは音響関係のセッティングがなかなか手こずっていたりと、普段と違う環境で行うのが大変そうではあったが、その場にいた人たちは彼女からパワーをもらえてたんじゃなかろうか、という感じだった。配信で見てた人たちにも、最近知った人も、もし機会があるなら彼女のライブに行くのをおすすめしたい。何度か行ってるけれど、毎回物凄いパワーに圧倒されるから。ツアーをやるので良かったら足を運んでみてね。
t.livepocket.jp
土曜日はずっと通っていた歯医者の予約があまりに取りづらくて、別の歯医者に行ってみた。検査してもらい凄く早く済んだのだが、念の為もう一回来週来てくださいと言われてちょっとめんどいな…の気持ち。歯医者は出来るだけ面倒を少なくしないと通えないんだよ。 午前中を歯医者で溶かしたものの、映画観に行きたいなと思って調べて、『スタントマン』と『灰となっても』を観た。香港映画二本立てで、ついでにこの2本の間に晩ごはんとして香港料理を食べに行った。今年は『トワイライト・ウォリアーズ』のお陰で香港映画の公開が増えている気がする。『スタントマン』の方はちょっと夢を見過ぎではないかと思うところと、今も尚苦戦しながらも香港映画の魂を消さないようにするところとあり、しかし全体的には去年観たドキュメンタリーの『カンフースタントマン』の方が良かったな、と思った。『灰となっても』は現在香港では上映できなくなっている政府批判のドキュメンタリーだった。最近も黄之鋒が追起訴されたニュースが頭をよぎっていった。こうも激しい弾圧が起こった時、何ができるのだろう?と思うことしか出来なかった。雨傘革命の時から香港の様子は気にしていようと思っていたが、より注視していく必要がある。
ワンタンスープとジャージャー麺
日曜は横浜市長 選挙に行き、その後久々に中学の時の友人に会った。継続して会っているのはこの二人だけという、大事な友人である。赤レンガ倉庫で地中海の諸国料理が楽しめるイベントに誘ってもらって、3人で飲んで食べてわいわいしていた。その最中に市長選の結果が出て項垂れる羽目になったが、明日からもやっていこうとなりながら別れた。ありがたいことに、選挙の話も出来る友達であり、意見が異なる時もあったが、いまだにあまり何も気にせず色々言い合える相手なのがどれほど貴重なのか、思い知らされる夜だった。
赤レンガ倉庫前