熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

我が家から一番近い国外脱出法

今晩は。もうすっかり春めいて来ましたね。はとです。
お気に入りのトレンチコートが大活躍しております。
そのトレンチコートを着た写真を、先日Twitterに載っけました。

 実はもう一ヶ月前という事実には目を背けてほしい。

こんなコメント付きだったので「また台湾行ってきたんですか?」と尋ねられたんですが特に飛行機や船には乗り込んでいません。JR横須賀線だけです。

と言うわけで行ってきました米海軍横須賀基地!

 

きっかけ

今年の2月頃にたまたま見かけた、横浜の映画館「シネマ・ジャック&ベディ」さんのブログでした。

米軍の映画館では当然3Dが観られるというお話 | シネマ・ジャック&ベティブログ

この記事を見た時に「こんなものがあったんだー!」と驚いたのでした。
そこで更にそのブログからリンクしている記事を見てみると、一般公開日に映画館が普通に上映していたから、日本で未公開の作品を観て来た、という記事まで出てくる。
勿論字幕&吹替はなしだけれど、海外で公開されている映画を観れるかもしれない…?

そう思って上映スケジュールを調べてみると、日本で公開中の作品も勿論、『Deadpool』『Zoolander2』『We Are Your Friends 』『The Witch』…と、いつ日本に来るのかもわからないけれど結構な大作や公開は決まってるけどかなり先の話、みたいな作品までが一日に三本くらい上映されている模様。イギリス本国ではスルーが決まった『Gods of Egypt』なんて3D上映ですってよ!(日本の公開も決まりましたが9月です)

これはチャンスがあるなら行くっきゃあるまい、もし当日映画を観れなくても、映画館を見てみたい!
そう思った私は虎視眈々とチャンスを狙っていました。

狙うは一般開放日

そうは言っても他国の軍事施設です。おいそれと入れる場所ではありません。
年に何度か一般開放される日があるのでそれを待つと書いてあったので、気長に待つかと思っていたのですが…なんと3月20日に<日米親善よこすかスプリングフェスタ 2016>なるものが開催されるじゃないですか!
これはチャンスだと思い、いつも付き合ってくださる友人のMさんを連れて行くことにしました。ちなみに二人共横須賀へのイメージがカレーくらいしかないという超初心者です。
ところでスプリングフェスタって何?

映画館空いてる?
そんな状況で当日集合時間をのんびりめに設定したちょうだらだらモードの我々。
横須賀駅に着いてから案内の方にどこから行けばいいのかと尋ねると
「今入場に3時間くらいかかるらしいよ」

…さ、3時間!?

あまりの時間の長さに「か、帰ろうか…」と心が折れかけたのですが、とりあえず行ってみるだけ行ってみようということになり歩いて基地まで向かうことに。
なんとなく流れはあるのでそのまま進んでいく。すぐに列は発見できました。最後尾に並びます。
どこまで進めたら施設に入れるかは初めて来た場所なのでまったく分かりませんでしたが、あまり立ち止まらずに列が動くので「さすがに3時間は待たなくてもいいだろう」と思いながら列に並んでいました。
進んでいくに連れて海が近くなり、記念艦「三笠」が見えてきます。おお、全く戦艦に疎い私ですらその名を知っている!(進撃の巨人に登場するキャラクター、ミカサ・アッカーマンは確かここから取られていましたね)

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そしてここからカラーコーンで列が仕切られており、ようやく目的の場所に辿り着いてきた実感が湧いてきます。

ここで国外から遊びに来たアメリカ国籍以外の方は入場のためにはパスポートが必須でしたのでお気をつけください。
というか行きの電車で注意事項を読み始める我々(遅い…)

「そういやパスポートってあった方がいいって書いてあった」

「嘘でしょ持ってきてない! 密入国になるのでは…?」

などと馬鹿なことを言っていましたが簡単な荷物検査だけで入ることが出来ました。

不法入国じゃなくて良かった。

なお、並んだ時間は実質一時間くらいという所でした。

中はまるで合衆国!?

ようやく海軍基地の中に入ると、そこは完全に別世界でした。
道路標識がすべて英語! だだっ広い道路を歩くたくさんの人々!
そこは軍事施設というよりは、海外のテーマパークに遊びに来たようでした。
迷彩服を着ているお兄さんお姉さんと記念写真を撮る列ができていたり、芝生に座ってご飯を食べている人たちがいたり。
中に進んでいくと、なんだか学園祭のような雰囲気。

主に出店と、それに野外の音楽パフォーマンスが行われていました。
 野外に作られたテーブルと椅子に食事をしている人たちの多いこと!

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屋台に出ている食べ物がピザやバーガーばかりで、アメリカンな雰囲気を感じます。

それにしてもすごい人でした。

それらをすべて横目に、我々は映画館を探します。
部内者であろう迷彩服のお兄さんたちに「映画館はどっち?」と尋ねたのですが、
私の「Theater」の発音が全く通じず、最終的にスマフォに頼るという始末でした…
その後しばらく「Theater」と唱え続けていた…

遂に来たぞ!これが映画館だ!

言葉の壁と人込みを乗り越えてようやく辿り着いたのがこの「Benny Decker Theater」!

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嬉しい!と全身を使ってはしゃぐ私。 

 

国内にあるけど!国内じゃない!目的地に辿り着いた我々は、ひたすらはしゃいで映画館の前で写真を撮りました。
他にそんなことしてた人いなかった。

映画館の前はテーブルや椅子が並んでいて、皆もりもり食事をしていました。
中に入ると、右手にすぐ売店、目の前にはもう劇場への扉、左手にトイレという1スクリーンの映画館でした。
トイレがめちゃくちゃ混んでいた。
現在公開中の映画のポスターが飾ってあったので、写真を撮りまくる。

 

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ああ、ズーランダー2…!(めちゃくちゃ反射してるけど気にしないでください)

 

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ビル・スカルスガルドどころか主要キャストさえ認識しづらいALLECIANT(ダイバージェント3)
(めちゃくちゃ反射してるけど略)

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こちらは外のポスターたち。最高なラインナップですね。

 

そしてこちらが劇場内!

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写真から見て分かる通り、残念ながらこの日は映画はやっていませんでした。
代わりに<Seventh Fleet Band>による特別な演奏が行われるとのこと。
映画館内は勿論ドリンクやポップコーンが売っていましたが、外に売ってたピザを持ち込んでいる人がいたりと、のんびりな雰囲気。これも学祭っぽい。
我々もチーズバーガーとコーラを買って演奏を楽しみました。
最近の曲やちょっとカントリー調の曲、しっとりとしたバラードなどのオンパレード!
これが思いの外楽しかった!
特にWALK THE MOONのShut Up and Danceが流れた時は、バンドも会場もテンション最高潮!
会場は立ち見がたくさん出るくらい盛況でした。
途中で席が空くと、怖い顔をしたスタッフさんが次々と新しい人をキビキビと座らせていったのが面白かったです。
隣で聞いていたおじいさんがずーっと体揺らして声を上げて叫んでいて、こちらまで楽しい気分に。
目が合って笑ったりしていたら、最後には「うるさかったでしょう」と言われたので「そんなことないです、楽しかったです」と答えたら握手をして去って行かれました。

終演後は、バンドマンたちがステージの下まで降りてきていろんな人と写真を撮っていました。
私もちゃっかり撮ってもらった。

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実はこのバンド、アメリカ海軍内に存在する11のバンドの内の一つで、日本ではこの横須賀基地にしか存在しない大変貴重なグループでした。こういうお祭りとか式典の時にしか見られないそうです。

 

まだまだ楽しい!異国感!

映画館を後にした我々は、のんびり基地を一周しました。
(入らなかったけど)フードコートと長蛇の列を眺めたり、黄色い消火栓にわくわくしたりと満喫しています。
映画館以外の娯楽施設として、ボウリング場がありました。中ではプレイしている人も。

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奥には野球場もありました。こういう所もアメリカっぽい。

あと当然と言わんばかりにマクドナルドがあったので「これでもしアメリカと同じメニューだったら頼もう!」とわくわくしていたのですが流石にそれはなかったです。

ぶらぶらしているとU.S.NAVYのロゴが入った消防車が道路に出されていたので、キャイキャイ言いながらじっくり見ました。

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そろそろ片付けるよー、とサイレンを鳴らしながらしまわれていったのも面白かった…

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こちらは郵便局です。
他にも住居施設など、ここが生活の場であることが実感できる建物もありました。


最後に海を眺めながら

「次回はもっと早い時間に来よう」
「あのどでかいピザを食べよう」
「そして次こそ映画を観よう…!」
と今回の反省と決意をしたのでした。

調べたらまた入る機会があるみたいなので、どこかでまたリベンジします。

 

求めていた音響は灯台下暗し(イオンシネマ海老名に行ってきた!/MMFR感想あり)

どうもお久しぶりです。
色々書きたいことは溜まっていたのですが、ついついブログは放置しがちですね…
140文字がいかに楽ちんかにかまけていてまったく書いておりませんでした。
本当は去年台湾に行った話とかクリパがかわいいとか下書き見ると書きかけた記事が溜まってるんですが、お披露目出来るのはいつになることやら…

 

熱量が高い内に書いた方がいい!と思ったので本題に入ります。

イオンシネマ海老名のTHXが凄い!

THXとは何ぞや?
とまず初めに思われると思います。
私もあまり知りませんでした。
詳しくはこのイオンシネマさんが用意したページにて詳細が載っています。

THX|イオンシネマ

簡単に言うと、あのルーカスフィルムが始めた超こだわりの音響システムということです。(現在は独立しています)
しかも、厳しい基準をクリアしないとTHX劇場とは名乗れないそうです。
しかも年一回審査があり、そこで駄目なら名乗ることを取り消されるという、結構厳しいシステム。
そんなTHXが日本で初めて認められたのが、イオンシネマ海老名なのです(当時はワーナー・マイカル・シネマズだった。懐かしいね)
しかし何故海老名なのか。神奈川県海老名市。特に都心からアクセスしやすいかと言われればそんなことはあまりない気がする。あっでも新宿からは小田急線で一本だ!

そんな海老名、実は割とアクセスしやすいのですが、ついつい川崎に行きがちなので存在すら忘れていたのでした…
この事実をどうしてもっと数年前から思い出さなかったのか…自分をぶん殴りたい…
(そういう後悔を下にこの記事を書いています)

 

という訳で体験してきました。
ルーカスフィルムの一部門として始まったこのシステム、やっぱり観るなら
スター・ウォーズ/フォースの覚醒』しかないっしょ!
そう思って意気揚々とイオンシネマの上映スケジュールを眺める私。
しかし、探せども探せども見つからないスター・ウォーズの文字…
その代わりに発見したのは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だったのでした…
上映、終わってた…
そもそも私がスター・ウォーズ行こうと思ったのは、3/25で上映が終わるよ~という話が出てきたからなのでした。
一度しか観ていないので、もう一度観るなら4DXかなと思っていたのですが、ずっと頭の片隅にTHXの存在がありました。
しかし後悔先立たず。
そんな訳でVいくつか(何回観たか)忘れた、マッドマックスを再び観ることに。

(以下、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(以下MMFR)ネタバレを含みます)

 

広告が流れてて音が大きいかも、くらいでぼんやりしていた私、WBのロゴが出てきた瞬間からぶっ飛びました。
しょっぱなからビリリと震える映画館の空気と言ったら!
唸るエンジン音、爆発するような音、音、音。鳴り響いて頭がクラクラするほどのストリングスBGMの高音。怒涛のような水飛沫。また爆発。その分音がなくなった瞬間の、静寂。
私が求めていた音響は、これだーーーーーーー!
一人心の中で快哉を叫んでいました。そう、これなのよ!
私は立川シネマシティの極爆上映も好んで通っていました。
立川は音響がものすごく綺麗です。しかも映画ごとにきちっと調整が入り、一番聴きやすい音に仕上げてくる。
こういうことが出来る映画館は日本で立川シネマシティだけだと思っています。ただ、私にとってはちょっとばかし上品過ぎる。
その点イオンシネマ海老名のTHXは、ともすれば耳が痛くなるような轟音だったのです。
高音が聴かせてくるったらない。けれども耳を劈くほどではない(つんざいてだめだーってなったのはブルクだったりします…高音が響きすぎて死ぬ…)
観終わった後の残響感、轟音でライブに行った後のようで恍惚としていました。

 

繰り返し観ている映画は数を重ねると流石にあまり泣かないのですが、今回は初めてフュリオサが鉄馬の女たちに会うシーンでぐっときて泣いてしまいました。
あのおでこを合わせるシーン、ものすごく込み上げた…
また、その直後にフュリオサが“Green place/Home”などないと知って慟哭するシーンでも涙がこみ上げてきました。これは音響が良かったからに他ならない…
いつもは大抵ニュークスの最後の「Witness me」で泣いてしまいます。
こちらもとても綺麗に聞こえました。


マッドマックス 怒りのデス・ロード』と言えば、先日アカデミー賞を6部門受賞していました。
その内の録音賞、音響編集賞という賞を受賞しています。どちらも音に関する賞です。
コマ抜きされたアクションに、ぴったり綺麗に台詞が重なるようになどを美しく出来たことに対してと、それらに加えて爆発の音の効かせ方などを合わせているのがどちらも優れているから勝ち取った賞だと思っています(ちょっとここら辺私もぼんやりとしか説明できなくてごめんなさい)
それらが見事に体感出来る劇場でした。
今までMMFRはIMAX、4DX、MX4D、極爆上映、絶叫上映、エクストリーム4DXなどかなりの種類で観て来ましたが、今回のTHXでの体験は、間違いなく最高でした。
もし初見で、3Dが苦手という方には絶対に観て頂きたいです。
初見でなくても、立川やドルビーアトモスやウルティラなど、他の音響と聴き比べしてみても楽しいと思います!
私的には、現在上映中の『ヘイトフル・エイト』がここで観てみたいと思いました。
こちらの作品もエンニオ・モリコーネが作曲賞を受賞しています。音楽に連れて行かれる気分になって、こちらも大変素敵な作品です。

 

THXもそうですが、映画館で聴き比べとか、スクリーンの発色の良さとか大きさとかを比較して観るの結構楽しいですよ。

その上でお気に入りの映画館が見つかるとなお楽しい!



しかし本当、なんでスター・ウォーズ観に行かなかったんだろうな…
というかあんな映画やこんな映画、イオンシネマ海老名で観たかった…
どうして今まで利用しなかったのか不思議で仕方ないです。
(ぶっちゃけ立川と海老名を比べてしまうと圧倒的に海老名のほうが時間も交通費もかからない…)
せめてエピソード8の前に、エピソード7のリバイバル、お願いします―!

 

直球で美麗なスパイたち、あるいは監督たち(『コードネームU.N.C.L.E.』感想※ネタバレあり)

はじめましてもそうでない方もこんにちは。はとです。
映画が好きで、何か昂ぶったりTwitterでまとめきれない時にここを使おうと思いました。
やおい好きなのでそういう話も出ますしそうでない話もします。
多分更新は稀だと思いますが、よろしくお願いします。


というわけで、『コードネームU.N.C.L.E.』についてです。
ワーナー試写室にて試写会に誘っていただき、原稿の合間に観てきました。
ガイ・リッチー監督でまたバディもの!しかも原作があの有名ドラマ!
というわけでずっと楽しみにして期待値ガンガンにあげていました。
既にもう記憶がうろおぼえという体たらくですが、お付き合い下さい。
以下ネタバレをしています。

 

 

 『コードネームU.N.C.L.E.』

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(本国版はこのポスターが黄色なのですが、日本版の赤で正解!と思いました)


あらすじ
東西冷戦時代、画期的な核技術を開発した博士が失踪する。
彼の行方を追い、世界の危機を妨げるため、アメリカのCIAとロシアのKGB、それぞれ凄腕のエージェント二人が手を組んで阻止しようとする。

 

感想
まさにガイ・リッチー!と叫びたくなるようなバディムービーでした。
WBのロゴが出る瞬間からおしゃれ!日本版のポスターが赤なのは正解!と叫びたくなりました。
シリアスとコミカルの配分がバランスよく、軽い気持ちで楽しめるいい作品です。
特に主役のヘンリー・カヴィルが物凄くハマり役でした。パーフェクト・ソロ!
美しくてスマートでそれでいてチャーミング、彫刻のような美しさと相まって華麗で良かった。
対するイリヤはドラマとはかなり違ってガチムチ大男にされており、肉体担当になっております。
こちらを演じるアーミー・ハマーも大変かわいかったです。声が美しい!
この二人が考え方から行動から何から何まで正反対で、だからこそ生み出されるすれ違いやコンビネーションやカバーがたまりませんでした。明らかに二人の関係を揶揄するような台詞まで出てきてひっくり返った。
また、ヒュー・グラントのキャラクターもたまりません。彼、もっとこういう役をしてほしい。

そして特筆すべきは敵キャラであるエリザベス・デビッキ様!様をつけたくなる!
美しくて賢くてとんでもない悪女で最高でした。
こういう悪役のボス、待ってた!と叫びたくなった。
2015年は男性ヒロインが登場した作品が多かったけれど、女性ヴィランが少なかった気がするので(キングスマンのガゼルは最高でしたが)(あっ、『ミニオンズ』のスカーレット・オーバーキルがいました。彼女も素晴らしい)
この映画も最近のハリウッドの系統に漏れず、ヒロインのアリシア・ヴィキャンデルなど女性の描き方がきちんとしています。それが押し付けがましくなく、サラリとやっているのがガイ・リッチーならではという気がします。
音楽も撮影もキメキメで格好良くて、役者たち自体も身にまとっている衣裳も素晴らしい!
60年代の雰囲気とスパイたちの暗躍っぷりが相まって溜め息が出るほどおしゃれでした。
本当にいいもの観たなーという感じです。


ただ、ここからがちょっと考えてしまった所なのですが。


公開前から、一部で「この映画はガイ・リッチーからマシュー・ヴォーンへのアンサーソングではないか?」と囁かれていた本作ですが、観てみたらアンサーソングどころの話ではありませんでした。
メインキャラクターの一人、イリヤ・クリヤキンがマシュー・ヴォーンの監督した『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(以下XFC)に登場するエリック・レーンシャー/マグニートー(マイケル・ファスベンダー)に雰囲気や服装が酷似している、という話が囁かれていました。まあ確かに似ているけれどまあ映画はどうなっているか分からない…と思っていたら、XFCを髣髴とさせるシーンの連続。
特にイリヤが敵に追われて水の中に沈んでいくのをソロに助けられる、というシーン。これ撮り方から何からまんまエリックとチャールズでした。このシーンが衝撃的すぎてその後しばらく集中できなかった…

なんというかガイ・リッチー、直球すぎる。

しかもこのシーンではないかもしれないけれど、U.N.C.L.E.の隣のスタジオでキングスマンを撮っていた、という逸話を思い出してまた震え上がりました。友人が新作撮ってる隣でその友人の別の作品の二次創作を撮ってるって何考えてるんだ。


ここまで来るとアンサーソングと言うよりは、最早ガイ・リッチーXFCなのではないかというくらいでした…よくこれにOK出したなワーナー…
相違点は、この作品の二人は仲違いをしないで話は続いていく。
マシュー・ヴォーンはもう少しオブラートに包んでいたぞと言いたくなりました。
(彼がキングスマンでまるで『裏切りのサーカス』のオマージュなのでは?と言いたくなるような関係性を描いていたのですが、それはこちらが深読みをしているレベルに過ぎない、と言えば過ぎない)(でも明らかに意識してるよね)


なのでそう言った意味でもこの映画はとてもおもしろいのです。かつては一緒に仕事をしていた二人が決別してから、お互いのことを意識したような作品を撮り続けている中、この作品はまさに集大成という感じがしました。
二人の監督が再び一緒をする日がくるのでしょうか。是非お願いしたいところです。
私的にはキングスマンとコードネームU.N.C.L.E.の二作を、監督を入れ替えて製作してもらいたい。


ただ一方で、これは『0011 ナポレオン・ソロ』のリメイクではなかったのか? という疑問が消えないままでいます。
ドラマ版を全部観ているわけではないけれど、観ている範囲では、明らかにこれは別物だな…と。
別物、という意味ではガイ・リッチーシャーロック・ホームズも割と型破りと言われているけれど、これはオマージュになっている作品はあまりない気がします。対して今回のU.N.C.L.E.は、リメイク元の作品よりも別の作品の色がはっきりと見えてしまう。冗談でも贔屓目でもなく、あまりにもXFCのオマージュに溢れてたんですよね。
これ、原作ファンにどこまで受け入れられるかな、とちょっと考えてしまった。

 

素敵で面白かったけれど、ちょっとガイ・リッチー版のXFCを観たような気分になったので、次回作でまた活躍するU.N.C.L.E.の二人が観たいです。新生U.N.C.L.E.の二人も、魅力たっぷりだったので。(本当はもうちょっとイリヤ側も深彫ってほしかった…)
続編待ってるよ!(勿論監督はガイ・リッチーでね!)


(ただこの作品、現時点で制作費を回収できてないそうなので、結構絶望しています…皆観に行こうね…)