熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

具体的なことはなくても(読書感想『しゃべれども しゃべれども』)

きっかけ

しばらく前に「プロフェッショナル」という番組でいわた書店が取り上げられた回を観た。
北海道にあるその書店は、提出されたカルテを元に店主が一万円分の本を選んでくれる「一万円選書」というサービスがとても人気で、それが取り上げられていた。カルテを送ってくれた人のことを考えながら、その人が求めていそうな本、一方で普段手に取らなさそうな本を混じえて選書をしていた。
この試みはとても人気で、今は受付休止状態らしい。
詳しくはホームページをどうぞ。

最新情報 - いわた書店


その番組を観ている時に『しゃべれども しゃべれども』が取り上げられていた。
特にその本は何度か登場していた。名前は知っていたが、こんなに出てくるなら面白いだろうと思って読んでみることにした。
作者の名前に見覚えがあって、調べたら『一瞬の風になれ』を書かれていた。
こちらも随分前に読んで好きだった記憶。

 

しゃべれども しゃべれども (新潮文庫)

しゃべれども しゃべれども (新潮文庫)

 

 

あらすじ

二ツ目の若き落語家今昔亭三つ葉は、吃音症の従兄弟から話し方を教えてくれと頼まれる。
そこからあれよあれよと教えてほしいメンバーが集まり、三つ葉は話し方教室を開くことに。
自分の芸もいき詰まる中、人の面倒を見ている場合ではないと思いながらも話し方教室は進んでいく。
「話すことが苦手」なことだけが共通点の個性豊かなメンバーたちと、三つ葉の教室と噺は成長するのか?

 

感想

最初の段階だと、吃音症の従兄弟が噺家にあがらずに話せるようにしてほしいと頼むくだりはちょっと『英国王のスピーチ』を思い出した。
この三つ葉という男が創作の世界じゃなきゃ絶対関わりたくないような古風な人間だったのだが、彼もまた一人の悩める男だと思えてからはあまり引っかかりなくするする読めた。彼の一人称で話が進んでいくので、まったく合わないと辛いと思う。
話し方教室に集まるのが美男子のテニススクールコーチの従兄弟、いじめを受けてる関西弁の小学生、頑固な謎めいた女性、悪役豪傑野球解説者と癖が強く、彼らが一向に仲良くならないのが良かった。ピリピリとした緊張感の中で、少しずつ相手を認めたり、譲り合う姿が良かった。ただ、従兄弟の子だけ描かれ方が物足りないというか、落とし所がぼんやりとしたままになっていたので、彼のその後はもう少しだけ読みたい気持ち。他のキャラクターは、この小説が終わってもどこかで頑張っている姿が想像できたので。


落語にはまったく詳しくないのだけれど、作中で自然に説明してくれることが多いので引っかかることはなかった。むしろ色々知ることができた。東京が舞台のため、実際の寄席小屋の名前が出てきてわくわくする。現実と創作の混じり具合が心地よい。 
タイトルの「しゃべれども しゃべれども」というのがうますぎる。これ以上ないほどぴったりで気持ちいい。
確かにもやもやしている人に差し出したくなるような一冊だった。
現状に行き詰まったり、苦しかったりしている人へ決定的な解決策は書いていない。そっと背中に手が触れるか触れないかくらいの寄り添い方だと思う。けれど、それでいいのだ。

で、これ映画化してるんですね。国分太一主演で。
ビジュアルを見たら思い出した。今度機会があれば観てみよう。

 

しゃべれども しゃべれども Blu-ray スペシャル・エディション

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6月はろくでなし

5月をすっ飛ばして6月を書く。本来ならば7月のことを書くはずであるが、まあそれはそれだ。ただの覚書だ。

とかなんとか書いているけれど、辛かったことばかりが頭に浮かんできてしまう。楽しいことも沢山あった筈なのに。遊びのお誘いとか大分キャンセルしてしまうことが多かった。声をかけてくれた方々、ごめんね。ありがとう。今爆弾みたいな状態でいつ爆発するか分からないギャンブルっぷりですが懲りずに声かけてくれるみんな愛してるよ。インターネットの友人が殆どの人間である。


イベントに行ったら高校の後輩と再会した。とてもいい子達で、その部分はまったく変わってなくて安心した。
以前は大学の友人と再会したので次は中学か会社に入ってからの知り合いと会うのではないかと思っているが、どちらも絶対に嫌だ。どちらも起こりませんように。


めちゃくちゃ美味しいものは人を狂わせる。具体的に言うと飲むチーズクルチャはヤバいし、タコがめちゃくちゃ柔らかいポルトガル料理は全て美味しいし、羊肉はいつだって美味い。今はてなブログのお題で美味しい店の紹介をやってるけど、正直人気店ばっかりなので全然他人に紹介したくない。友達とだけ分かち合っていたい。独占欲がすごい。そもそも全部人に教えてもらってばかりで自分が調べたわけではないのだけれど。ちなみに店の人が宣伝してねって言ったら美味しいと書きます。
しかしチェーン店を唯一無二の店!って紹介してたツイッターアカウント(個人じゃなくて情報系と名乗ってるやつ)があって、正直全然信用出来ないなって思ったりなどしていた。ネットの情報もまーよく見るけど、本当にリテラシー問われるなあと思うこの頃。
そう言いつつ食事処の検索サイトやアプリの中ではなんだかんだですごく食べログを見てしまう。あのレビューすごい読んでしまう。Rettyはいささかレビュー読み漁りたい自分にはフォーマットが合わない。ぐるなびは店側の載せたい情報ばっかり目立つので客側の利用勝手としてはいまいち。ホットペッパーは登録してるだけみたいなところもヒトサラは利用したいシチュエーションと合わないことがままある(あれはもっと気合入れたい時用に使うものだけど、たまに普通の居酒屋が混ざってて掲載基準点が分からない)。他に何かおすすめのものあったら教えてください。ろくでなしというかただの食欲の権化である。

4月は正直…

幸せ/しんどいの間でずっと揺れていたと思う。
でもそんな状態のふり幅の中にいたので、しんどい、が勝ったよね。

 

前半はまだ元気だったのでは。筋トレやヨガをやっていた。中盤で一回ぐったりして、下旬でもちょこちょこやっていた気もする。しかしGW辺りから、筋トレやヨガの素振りが一切合切消えていった…

 

エンタメ関連だと、4月は今年初観劇だった!遅い!

『1789~バスティーユの恋人たち~』
メリー・ポピンズ

の二本を鑑賞。
どちらもすごく良かった…!けど、1789の方は、曲があまりに難しい、というか歌う人のことを考えていないのでは?と思うレベルで、またシーンと曲が合っていないものも多くて疲れた。ちなみにいうと前の席に座っていた子供が一幕ずーーーーーーーーーっと動いてたからそれもまた疲れた…

でも今、2018年にやってもまだあのラストの人権宣言が響く、というか、まだこのレベルだなあと思えてしまった。社会レベルが100年以上前と一緒ってどうなのよと思いつつ、でもだからこそやるべき舞台であったと思う。

メリー・ポピンズは元々好きだったんだけど、小さな魔法がそこらかしこにしかけられていて、それが作用す度に胸がドキドキしてたまらなかった。演出は舞台の醍醐味だと思うのだけれど、それがあますことなく発揮されていた舞台だと思う。

私は濱田めぐみさんが好きで、メリー役に決まった時はなんてぴったりなんだろうと思って楽しみにしていたのだけれど、予想以上に素晴らしかった。舞台に現れるだけで泣きたくなる…!

あと、ちょっと原作よりな気がした。子どもたちのことを大事にしている一方で、とても厳しい。

あと、バートが柿澤さんなのも選んで行ったのだけどとてもよかった。彼が演じるとすごく若くなってしまうのでなんだか新しいバートに見えた。

とにかく動きがコミカルで、生きてるー!という感じが凄かった。

ヴィクター・フランケンシュタインでは姉弟を演じていた濱田さんと柿澤さんを、別の形で共演を観れたのも楽しい。(本当はデスノートでも観てるのだけれど、二人の絡みは殆どないので)

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メリー・ポピンズではこういうパネルが用意されていて、記念写真が撮れます。

私も撮りました。楽しかった。


映画は、すごくすごくすごく心配しすぎて考えるのをやめてすらいた続編たちが、私にはとても良い形で心に刺さってくれたので、それは本当に安心した。

パシフィック・リム:アップ・ライジング』

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

どちらも人によって評価が分かれている作品だと思うけれど、私はどちらも大好き。パシリムにもMCUにも大事なものをたくさんもらっていて、どちらもすごく思い入れのある作品だったから本当に不安だったんだけど、良かった。そして原点だった『パシフィック・リム』も『アベンジャーズ』も大好きだったことを再確認出来た。


しかし、実生活でしんどいが増えてきたのもこの頃だった。組織改変の仕方がおかしいよ弊社…振り回されてひたすら疲れた…

元気がある時に友人たちに遊んでもらったり、数年ぶりに遊んだ人、数年ぶりとは思えないくらい生き生きと話しまくったりしたのは救いだった。しかし、元気がなくなるとそれが出来ない…どうにかしたかったものです。


映画館で観劇しよう!ナショナル・シアター・ライブのススメ!

※2023年現在の上映館についてのリンクを追記しました。この記事は2018年に書かれています。

こんばんは!最近映画館で映画を観れていなくて枯渇気味のはとです。
寒暖差の激しい毎日、元気にお過ごしでしょうか。

ここ最近、映画館で応援上映など色んな形での鑑賞法が増えていますよね。
しかも映画でなくとも、コンサート映像やオペラやお芝居なんかも観れるようになってきています。映画館の楽しみ方は奥深い。

今回はその内の一つ、海外の舞台が日本にいながら楽しめる、『ナショナル・シアター・ライブ』を紹介したいと思います。

『ナショナル・シアター・ライブ』って?

もしかしたら海外の舞台が好きな方がいるTLでは「NTLがさ~」「NTLiveの発表がそろそろ…」などという言葉を見かけたことがあるかもしれません。
これらは全てこの『ナショナル・シアター・ライブ』(ブがヴの表記の場合もあります)という企画の略称です。
ロイヤル・ナショナル・シアターというイギリスの国立劇場が運営している企画です。
衛星放送を使って、演劇のライブビューイングを世界各地で行っているのです。
刀剣乱舞とか、舞台のライブビューイングって日本でもあるじゃないですか。
あれの海外版と思っていただければと思います。
日本では同時上映ではなく、このビューイング映像の録画が上映されています。
近い所で言えば、劇団☆新感線の演劇が上映される、ゲキ✕シネなどが近いと思います。

勿論、日本語字幕あります!!!
だから英語分からないという人でも安心です!!!

ちなみに、吹替は今の所存在しません。今後もないと思われます。声も含めて舞台の臨場感と俳優の演技を楽しんでください。

どんな作品が上映されるの? 

近年演劇界で賞を獲ったり、話題になった作品がかかることが多いです。
また、有名な俳優さんや監督が関わっていたり、シェイクスピア作など、作品自体が有名なものも上映される傾向があります。(あくまで個人的イメージです)
日本では5年目の試みになり、年間5~7本くらいかかっています。
他の劇場でかかっていたものや、中にはブロードウェイで上演された作品も、幅広く取り扱っています。
ただ、ナショナル・シアターで行われる全ての演劇が上映されるわけではありません。
そもそもイギリスでも上映はしていなかったり、録画されていない作品に関しては観ることが出来ません。

 

今年のラインナップは以下になります!

2/2-8『エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく 』

3/16-22『エンジェルス・イン・アメリカ 第二部 ペレストロイカ

5/25-5/31『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(今日から!)

7/6-12『アマデウス

9/28-10/4『イェルマ』

10/19-25『フォーリーズ』

11/24-29『ヤング・マルクス

11/30-12/6『ジュリアス・シーザー

 

あらすじやキャスト・スタッフ等は、公式サイトで確認出来ます。

www.ntlive.jp

私的にオススメなのは今日からスタートする『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』です。この作品はシェイクスピアの超有名作『ハムレット』のスピンオフになっています。
そちらについて詳しく書いた記事はこちら➾(予習すべきか、しないべきか(ロズギル私的まとめと関連作品紹介) - 熱に羽化されて)

あと音楽ジャンル好きは勿論FGO民におすすめしたいのが『アマデウス』!サリエリ視点から描かれるモーツァルトの話です。あれ同じタイトルの映画知ってるな?と思ったあなたへ。実はこの作品舞台が先なのです!ぜひぜひ舞台作品としての『アマデウス』も味わってみてくださいませ。

そして一つ、注意しなければならないことがあります。
『ナショナル・シアター・ライブ』の上演作は、DVDなどのソフト化・配信などは行われないと言うこと。行けないからDVDで観よう…は出来ないのです。
なので、ナショナル・シアター・ライブ好きは、上映時期になると騒ぎ立てるのでした。

どこで観れるの?

※2023年10月現在のNTLの状況は、下記の記事に記載しています。

 

ibara810.hatenablog.com

 

日本の映画館で観れます!ただし、現在限られた場所のみで、2018年は

TOHOシネマズ日本橋(東京)
TOHOシネマズ川崎(神奈川)
大阪ステーションシティシネマ(大阪)
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ(愛知)
中洲大洋映画劇場(福岡)

の5つの映画館で上映されています。

ここで一週間の上映が終わった後に、

吉祥寺オデヲン(東京)

などでも時間が経ってから上映されることがあります。
その他にも、最近では高知県民文化ホールなどで上映されたり、映画館に限らずの上映もあるようです。
また、神戸アートビレッジセンターでは、解説講座つきの上映が行われたそうです。今年も何作品か行われるようなので、近くにお住まいの方は要チェック!
う、羨ましい…!

 

また、ここでも注意なのですが、普通の映画と違って、基本的には一日1回上映です。(今回のロズギル、TOHOシネマズ川崎だけは月〜水だけ1日2回上映という奇跡が発生しました…!)

かつ、1週間しかやらない劇場が殆どです。普通の映画みたいに何週かやってくれる劇場、ほぼありません。

何時に上映されるかは映画館がスケジュールを発表するまで分かりません。また、この発表も普段の映画とあまり変わらないため、3日前にならないと分からない…ということが起こります。

午前中に観て午後から別の用事、と思っていたら午後からじゃん!なんてことも発生します。そのため、どうしても観たい演目がある時はあまり予定を入れない方がいいと思います…!

なので、NTLが好きな人たちはスケジュールが出るとわいわい騒ぎます。知らずに見逃してほしくないし、どこかで行ける日があればいいなと祈っているから…!

どうやってチケットを買えるの?

実は、普通の映画と変わらずチケットを買うことが出来ます!
TOHOシネマズなら上映日の2日前からインターネットでチケットを予約することが出来ます。
事前にネットで予約をするもよし、当日ふらりとやってきてチケットを取るもまたよしです。
料金は普通の映画と比べて3000円(学生は2500円)となりますが、本来舞台だったらもう少し値段が張りますし、そもそもイギリスやアメリカに行かないと観れないので、そう考えるとめちゃくちゃお得です。
あと、TOHOシネマズの会員カードを持っていて、マイルを貯めている方にはかなり美味しい企画です。
長丁場の演劇が多いですが、その分マイルが貯まります。いっぺんに200マイル貯まるのは結構楽しいです。

実際どんな感じで上映されるの?

いきなり本編、というわけではなく最初に演出家にインタビューなどのおまけ映像が流れたりします。
こちらにも日本語字幕があるのでご安心ください。今作がどういう風に作られたのか、などより作品に入れるような作りになっていることが多いです。
そこから劇場の様子が映し出され、舞台に画面が寄っていきスタートします。
ずっと固定の映像ではなく、役者のアップが入ったり、結構カメラの切り替わりなどもあります。途中で映像がカットされるということはないのでご安心ください。

また、作品によりますが、途中で演劇と同じく休憩が入ります。この間、映画館は照明をちょっとだけ明るくしてくれることが多いです。
映画館の劇場から外に出ることが大抵の劇場では可能なので、トイレに行ったり飲み物を買ったりすることが出来ます。ちょっと幕間に感想ツイートしたい、みたいなことも出来ます。休憩時間はアナウンスされることもありますし、大抵は画面に時間のカウントダウンがされますので、そちらを目安に戻ればOK!
休憩が終わると、またインタビュー映像などが数分挟まることが多いです。演者にインタビューしていたり、実際の幕間で俳優たちがどう過ごしているかなどを映していた回もあり!舞台裏が観れるこの演出を、私は毎回楽しみにしています。(ロズギルは一切なくてびっくりしました…普段はあるのよ…)
そしてそれが終われば本編へ。中には休憩が2回ある作品もありますが、大抵は2幕で終了。中には短い作品だと幕間がない場合もあります。

終わるとNTLのエンドロールが流れておしまいです。演者や演出家も勿論ですが、この映像の撮影者や日本語字幕担当者などの名前も流れます。
エンドロール後に何かがある作品は、私が見た限りでは今の所ないです。エンドロール自体はそこまで長くないですが、終電ギリギリの上映だった場合は諦めてもいいかも。
長丁場心配…という方にも休憩がちゃんとあったりと、配慮された上映になっています。

 

 あと、毎回パンフレットが用意されています!
作品ごとに色々紹介されているので、気に入った作品があればそちらも是非。
お値段も一般的な映画のパンフレットとあまり変わりません。

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 こちらは今年の2、3月に上映された『エンジェルス・イン・アメリカ』のパンフレットです。

大大大傑作だったので、もしお近くで上映がありましたらぜひ!

 

とりあえず体験してほしい

ここまで読んだら、なんとなくイメージが沸いてきましたでしょうか。
海外の舞台、行きたいものに全部行くならもう現地に住むしかない、という人間にとっては大変ありがたい企画になっています。
ここで上映される作品たちは、世界中に配信されるだけあって、レベルの高さは担保されていると思います。
どシリアスで重い話からコメディやミュージカルまで、様々なタイプの作品が上映されていますので、気になったものがあれば足を運んで頂けたらな、と思います。

私は英語もよくわからないし、お芝居って観たことあんまりないからどこを観たらいいんだろう、ということも思っていました。でもこれだと字幕がついているので話も追えるし、見せたい所はここなのかな?など考えたり、ちょっとした仕草を見逃さずに観ることが出来たのも良かったです。

あと自分の沼とどこでどう繋がるかは全然分からないので、こういうのもあるんだなーと頭の隅っこに置いておいて頂けると、いつか何かの拍子に「あっ!確かやってた!」と思い出したり観に行っていただければ幸いです。

とりあえずロズギルこと『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』は、去年生田斗真くんと菅田将暉くんで上演されたばかりなので、それと観比べたりするのもお芝居の楽しいところですのでぜひぜひよろしくお願いいたします。ハムレット役の林遣都くんのファンなどもぜひぜひ!

(これで人気が出て全国のもっと沢山の劇場でナショナルシアターライブが上映されますように…!)

 

ちなみにこちらは超貴重な、ナショナル・シアター50週年記念で作られたDVDです。ダイジェストとか色々観れるらしいので、貴重なこちらも楽しみです。

ナショナル・シアター 50周年オンステージ [DVD]

 

積読にも意味はある(読書感想『思考の整理学』)

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ぼんやりと名前は聞いていて読んでみたいな―と思っていた本が図書館から届いた。
外山滋比古『思考の整理学』はアイディアはどこから来るのか?それはどうまとめればいいのか?という悩みに答えてくれるような、大学教授のエッセイだ。
大学一年生とかくらいによく見かける「大学生ならこれを読んでおけ!」的な記事とか生協の特選コーナーにいたような気がするけれど、当時は読んでいなかった。(というか、驚くほど読んでなかったよね)
読み始めたら、高校の時に説いてた論文やエッセイを思い出す文体で、なんだかとても懐かしかった。

本著は4章に区切られていて、その中でも更に細かいトピックにまとめられている。
一つのトピックが5ページくらいで終わるので、とてもあっさりしている。
若干難しい言葉もあるけれど、高校生くらいでも読めそうな感じ。
見つめる鍋は煮えない、などのフレーズを用いながら思考の辿り着く先や、考えることとの付き合い方が書かれる。
思考が生まれやすいのはいつか?ということや、思考は気力に左右される話なども。
半分以上は既に知っている話だったけど、改めて言葉にされるとすとんと来る。
当たり前だよと言いたくなることだって、実行するのは難しい。だからこそ再確認という意味で読めて良かった。

「ホメテヤラネバ」という節にはなんだかうまく慰めてもらった気分になった。
高3の春休みとか、大学入学間近に読んでおくと確かに良さそうな感じはある。
勿論、学生時代は遠い今の自分でも十分だった。
しかしこれ一体いつ書かれたのだろうと思って最後に奥付を確認したら1983年発行だった。
一体何年前よ!?
古過ぎる話もあるけれど、今も応用出来ることは沢山あった。
「つんどく法」という節が出てきて、こんな時代からこの言葉があったのかーと思いつつ、つんどく山脈を作っている友達を思い出した。
今読まなくても、それがいつか必要な時に読めばいいというのには勇気づけられる。
本、積んでてもよいよね。
一方で、わからないと思っても読み続けてみる、というのもチャレンジしたいなあと思った。
やっぱり大学一年生頃に読めばよかったかもね。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

三月はXXX:つまりは再起動、そして

そしてル・ポールである。

 

月に一回はまとめ的なことをやろうと思って第三回。月末から書き始めているけれど若干足が出ている。でも気にしないで書き終えるということが大事、ということにしてしれっとした顔でアップロードする。
なんだか書いている内にすごく暗いんだけど最終的にほの明るい、くらいまでの話になってきた。相変わらずとりとめない。

 

三月は体調が良くなった、と思いきやガタついて、そしてようやく下旬辺りから戻ってきた。
仕事が思うように出来ないのもあって酷く辛くって、色んなことが再発してぐわーっと薬馬鹿みたいに飲んだり泣きながら過ごしたりする日もあった。もう駄目だ、と思って中旬辺りまでは本当に鬱々としていた。
無理やり外に出て、でも無理するほど長時間ではなく一つの用事のためだけ、というのを繰り返していく内にちょっとずつ落ち着いてきたと思う。あと素敵な人たちに会う約束をしていたのが本当に救いだった。もう何年も付き合いがある人もいれば、知り合って1年くらいで会うのは3回目くらいの人もいたけれど、皆大好きだと思う。自分より他人のために生きている方が楽なんだよな。だからこそ自分のことももうちょっとどうにかしてあげないと、とようやく思えてきたのも中旬あたり。それで楽しくなってきて、映画もちょこちょこ行けるようになって、今に至る。

 

映画を先月に比べて沢山観た。漸く映画を観てるーー!という気持ちになれたのだけれど、それと同時に見逃してる…という気持ちにじわじわ殺されていくような感じもあった。観たリストより観ていないリストの方がきっと長い。でもそれって、自分の生活に見合ったものなのか?と言われると、ちょっとうぐっとなる。この辺りももうちょっとバランスが取れるようになれるといいのだけれど。でも韓国映画もっと観たい。

 

それで言うと、先月ドラマ『ボードウォーク・エンパイア』を観始めると言ったが、あれは完全に嘘になってしまった。というのも、Netflixでリアリティ・ショー『ル・ポールのドラァグクイーン・レース』をビンジウォッチしていた。同じくNetflixで放送されたばかりの『クィア・アイ』を観て楽しくなり(若干モヤモヤしつつも)、その流れで観ている人が多かったので流れに任せたが、これが凄かった。こんなに一つの番組を駆け抜けるように観たのは久しぶりだった。一つのシーズンにつき十数人の中から毎週脱落者と優勝者が様々なチャレンジによって決まり、そして最終的に次世代を代表するようなドラァグクイーンが決まる。ただ美しいだけでは駄目で、化粧や衣装を作る技術、ユーモアセンス、ランウェイを魅せる歩き方、ダンス、人のアドバイスに耳を傾けて実践する素直さ、一方で自分らしさを崩さないこと、そしてリップシンクと、とにかくありとあらゆることを要求される。カリスマ、ユニーク、度胸、そして才能を必要とされることが定義されているこのレースは、シーズンを通していく内に浮かび上がる人間関係と、レースを通して変わっていく過程を観るのが楽しい。素直な人、気が利く人、すぐ悪口を言う人、協調性がない人、色んな人が沢山出てくる。そんな彼女たち(ドラァグクイーンとしてなので、彼女たちと表記した)が変わったり、変わらなかったりする様を何話も続けてみていると、こちらも寄り添ってしまうので気持ちが入って応援したりしてしまう。ちなみに各シーズンに推しクイーンは3人ずつくらいいるのだけど、マイ・フェイバリット・クイーンはS5に登場するジンクス・モンスーン。この人のドキュメンタリー映画があるので、どこかで観れたらいいなと思う。Netflixに探せばあったりするのだろうか。

www.netflix.com


非常に感化されやすい今までの人生、殆ど趣味に捧げてきて、それに悔いはないしその点に関して言えば世の中の人よりちょっといやかなり楽しんでいる自信がある。でも、最近他のことにも費やしてみてもいいかもしれないと思った。
端的に言えば、お洒落に興味を持ち始めた。
ここ数年で大分自分の中の意識が変わってきたけれど、自意識と美意識をこじれにこじらせまくっているせいで、洋服を見ている時に3回に2回は死にたくなって店を出る、みたいなことをしていたんだけれど、最近それがちょっと落ち着いた。5回に1回くらいの頻度になっている。このままそういう気持ちが減ればいいのに、と思う。下準備を若干することにより、死にたい気持ちが出てこなくなるようになってきた。対処法に自覚するまで10年以上かかった。

あとタイミング良く『ル・ポールのドラァグクイーン・レース』でコスメを提供していた「NYX」というブランドがちょうど3月に日本に再上陸したのもあって、今まで買わないようなアイシャドウのパレットを買った。あと唇は一つしかない筈なんだけどまた口紅も買った。ドラァグな化粧が出来る訳ではないのだけれど、そこからお洒落になりたい欲が加速している。というわけでスキンケアに美容オイルや導入化粧水を足したり、がっつり化粧する用にRMKのファンデーションを買ってみたりした。あとはうまく使いこなせるかどうか、というところだけれど、今まで買ってこなかった指南本とかに手を出してもいいのかもしれない。雑誌もいいのだけれど、自分の顔に当てはまるようなタイプのメイクが紹介されていないこともしばしばで、あまり使える情報が多くない。だったらいっそ基礎的な話や、自分に似たタイプの顔が紹介されている本をピンポイントで買った方がいいのではないかと思う。
一度興味を持てばこっちのものだ。後はその世界にあるものを調べて、理解して、自分のものにしていくだけ。

https://www.instagram.com/p/Bgd-Omtneai/

ル・ポールのドラァグクイーン・レースにも出てきたNYXに行ってきたよ!日本再上陸らしいのだけど、とてもいいタイミングだった。びっくりするほどアイカラー買ったね…!

そういう訳で今とてもやる気に満ち溢れているが、ここで失敗するとまた体調を崩すことは目に見えているのでその辺の調整をうまくしたい。
1月も2月も、体調が回復したら全力で行かないと追いつかない!と言わんばかりに生き急いで死にかけて、みたいなことを繰り返しているので、アクセル全開にするのではなく、ブレーキをかけながらも止まらない、という方にシフトした方が良い気がしてきた。いつだって気づくのはとても遅いのだけれども、遅すぎることはないと信じたい。
既に4月病*1に罹り始めてるけど、勢いつけ過ぎずに、ゆっくり参りましょう。

 

とか言いつつ6月に韓国でミュージカル『フランケンシュタイン』が再演すると聞いて、正直いても立ってもいられなくなっている。困った。

 

(ところで今回タイトルにした『XXX:再起動』は家にあるのに観ていないのはここだけの話だ!妹がドニーさん目当てに買っていた!)

*1:年度初めとかきりがいいからってあれこれ新しいことに手を出しまくって自爆すること、だと思ってるんだけど合ってるか?

怒りの預言者の話(『ギンズバーグが教えてくれたこと』感想)

今年初の読了。
発売時から欲しかったヤリタミサコギンズバーグが教えてくれたことー詩で政治を考える』を2月の終わりに購入。普段割と本は積みがちなのだけれど、これはするっと読めた。
というのも、横書きの書式だったからかもしれない。最近全然本を読んでいないのだけど、twitterやブログなどネットの記事は読み漁っているので、横書きの方が読みやすい気がする。

  

https://www.instagram.com/p/BgynVuWnakw/

暫く前に読み終わったヤリタミサコ『ギンズバーグが教えてくれたこと 詩で政治を考える』。装丁がとても美しいのだけれど、そこから繰り広げられる内容はパンチが効いていた。怒り、時々鎮魂。#読書#ginsberg

 

ボール紙のような厚紙に箔押しがされて、赤い部分は布張りなの、とても美しくて軽くてうっとりする。
中の紙はペーパーバックみたいなざらついた薄い紙なので、保存に気をつけないといけないと思う。


詩人であり、ギンズバーグの研究者である著者が、ギンズバーグの詩から現在の社会問題と照らし合わせたエッセイのような感じ。紹介されている作品は全部で5篇。1970〜90年代に書かれたものであり、すべて初めて読むものだった。
今まで読んでいたギンズバーグの詩は初期の頃の作品が殆どだったので、中〜後年の作品はもっとマクロに政治的なものになっていくのだなという印象を受けた。初期の『吠える』の頃は、自分の中にぐるぐるしていた感情を爆発させたようなイメージだった。それが年を重ねることで、周り、つまり彼の世界がもっともっと広がっていくことで、詩の内容もまた広がりを見せていく。具体的な批判の対象の名を挙げたり、真っ向から批判している。彼のいた時代のおかしなことを、厳しく追及し、怒っている。そして哀れんだり、優しい顔も見せる。
「怒り」こそギンズバーグの原動力なのでは、と思うことがよくある。
ギンズバーグのエピソードには「物凄く優しい」と思うこともあるけれど、詩の苛烈さは常に変わらない。「怒り」の感情が脈々と詩に流れているのを感じる。そんな40年以上前に書かれた詩は、現在の政治と照らし合わせた時に、あまり変わっていない現状にガッカリもする。だからこそ言葉は残り、本を読むことは何かの助けになるのかもしれない。

彼の詩が当時のことを書いているのに預言的である、という話に、最近観たNTLの『エンジェルス・イン・アメリカ』を思い出した。

そしてこの本の中に紹介されていた日本の詩人及川俊哉の作品を知れたのは良かったなあ。「現代祝詞」どこかで聴いたことがある気がする。東日本大震災があった時に詩人として一気に台頭したのは和合亮一というイメージだったんだけど、他にも活動している人がいた。当たり前か。