熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

舞台「リーマン・トリロジー」を映画館で観よう!

※2022.7.4. 続映&追加劇場の情報を追加しました。

 

NTLの初心者向けQ&Aを最後に設置しているのしているので、そこだけ見たい方は見たい方はこちらからどうぞ→Q&A

3人の男が、3人の兄弟と、3世代の話を、3幕の舞台で演じる。
そんな面白い舞台が、今だけ映画館で観られるよ!

(この間観に行ったら完売しててちょっと感動した)

と、ナショナル・シアター・ライブ(NTL)シリーズは何度もTwitterでは騒いでいるが、ブログの方では一度くらいしか触れていなかったので布教したくて書く。
NTLとは、イギリスの国立劇場が運営している、舞台作品のライブビューイングである。日本では、舞台上演の録画を映画館で上映している。
詳しくは以前書いたブログがあるので、そちらを読んでほしい。(当時と状況が変わっているので、多少古い情報が混じっています)

ibara810.hatenablog.com

 

「リーマン・トリロジー」はロンドンで上演された後、ニューヨークのブロードウェイでキャストが1名変わって上演された。それが今年のトニー賞で最も大きい「演劇作品賞」をはじめ、「演劇演出賞」「演劇装置デザイン賞」「演劇照明デザイン賞」、それに出演者のサイモン・ラッセル・ビールが「演劇主演男優賞」(そもそも演者全員が主演男優賞にノミネートされていた)と、数々の賞を獲ったのである。トミー賞のノミネート記念して、6月から東京と大阪でリバイバル上映が行われた。このそして明日から、受賞記念なのか先日のリバイバルが好調だったのか、東京で更に6/24(金)〜7/7(木)7/14(木)までシネ・リーブル池袋で上映が決まったのだ。 ※どうやら人気のため延長した。

※追記
また、東京のBunkamura ル・シネマでも7/8(金)~7/14(木)までの1週間連日18:05~21:50での上映、京都のアップリンク京都*1では7/22(水)〜7/27(水)での上映が決まった。


このNTLは上映期限が決まっており、過ぎたら観れなくなるので要注意。特にこの演目はNTLのサブスク*2にも入っていない。これを逃すとニューヨークに行って観るか、もしくは来年からまたロンドンで再演するらしいのでそこまで行かなくてはならない。これが現時点の日本ではラストチャンスだそうなので、東京・京都と限られた立地になってしまうが、機会のある人はぜひとも観てほしい。

 

www.ntlive.jp


私は6月のリバイバルで2回目を観たのだけれど、改めて良かった…と噛み締めまくった。なので1人でも多くの人にも味わってほしいので、池袋まで足を伸ばせる人は是非足を運んでほしい。ちなみに初見の時点で十分面白かったのだけれど、その時めちゃくちゃ疲れていて、若干ウトウトしてしまったのだ。それがどうにもこうにももったいないなと引っかかっていて、何度か再上映のタイミングがあったけれど合わず、もったいなくてのリベンジだった。

 

どんな話かというと、「リーマン・ショック」で世界を震撼させたリーマン・ブラザーズの始まりから終わりまでを3世代に渡って描いていくもの。それも、この大河ドラマばりの長い話を、たった3人の役者と一つのピアノだけで、約3時間で語ってしまう。
ドイツからアメリカにやってきた3兄弟であるヘンリー、エマニュエル、マイヤーを、それぞれサイモン・ラッセル・ビール、ベン・マイルズ(BW版ではエイドリアン・レスター)、アダム・ゴドリーが演じる。しかし彼らが演じるのはこの3兄弟だけではない。周囲の人間はもちろん、彼らの子供や孫まで、その数合計を、3人が変わるがわる演じていく。衣装替えや特殊メイクなどは一切行われない。それなのに、全然違う動きや声で、さっきまで演じていた役とは違う役を演じているという事が分かってしまう。アダム・ゴドリーの0歳児と2歳児の泣き声の分け方など、演技がめちゃくちゃ上手い人じゃないとこんなの挑めない…!と震え上がる。本当は3人同時にトニー賞主演男優賞を取って欲しかったくらいだ。

音楽もすごい。生演奏のピアノが彼らの物語をより鮮明に描き出している。こればっかりは観てもらった方が分かりやすいので、観てくれ…!としかいいようがない。彼らの演技に合わせて奏でることがどれほど大変なのか、ちょっと私には想像の範疇を超えている。馬が歩く音などの音響効果も使われてはいるのだけれど、そちらは最小限に留めている。

また、舞台は巨大なガラスのような箱がセットされている。この中で演じていくのだが、回転しては全く違う場所になってしまう。この見せ方もかなり面白い。演劇の中でもこの作品は観客の想像力に委ねられる部分が多い。にも関わらず、うまく物語に引き込ませてくれる。演出を手がけているのは、映画『007/スカイフォール』や『1917』の監督であるサム・メンデスである。彼は舞台も多く手がけている。

 

雰囲気をつかむには、予告編を観るのが一番かもしれない。


www.youtube.com


ちなみに、この作品は元々イタリアの作家ステファノ・マッシーニが、ラジオドラマとして9時間に渡る超大作だったそうな。それをベン・パワーが大胆に翻案したのが今回のバージョンらしい。
元になった作品は小説として日本でも最近発売された。面白かった人はこちらと比べてみるのも面白そう。ただ、かなり分厚いので予習よりは復習の方がいいのかもしれない。

 

 

最後に、初めて観たいのだけれど、舞台の録画って普通の映画とどう違うの?という人向けにQ&Aを置いておくので、参考にしてほしい。

ナショナル・シアター・ライブ・ジャパン
初めて観たい人向け Q&A

Q1.字幕や吹替はあるの?

A1.日本語字幕はあります!安心してね。残念ながら吹替はありません。

 

Q2.上映時間長いけど休憩はあるの?

A2.あります!リーマン・トリロジーは3幕構成なので、2回あります。
1回目は約20分、2回目は約16分でした。
外に出てトイレに行けます。

 

Q3.どこで公開してるの?

A3.今回の『リーマン・トリロジーリバイバルは東京のシネ・リーブル池袋Bunkamuraル・シネマ、京都のアップリンク京都のみです。1日1回上映が多いので各映画館の上映スケジュールをよく確認した方がいいと思います。
他のNTL作品は東京・名古屋・大阪・京都・福岡でスタートし、
その後神戸や各地でもう少しだけ上映が時折ある状況です。

 

Q4.チケットはどうやって買うの?

A4.映画のチケット買うのと同じです。シネリーブル池袋はオンラインで事前に席を選んで購入する事もできますし、映画館に直接行ってチケット売り場で買うことも出来ます。土日は売り切れに注意。事前に買っておくと良いかも。

金額は一般3000円、学生2500円です。

 

Q5.円盤が欲しい!

A5.公式が円盤化はしないと明言しています。
サブスクはありますが、そちらは英国公式サイトになり、字幕も英語のみです。

 

Q6.うちの近くではやってないよ〜!

A6.お近くの映画館にリクエストを出してみてください…声が多いと考えてくれるかも?
後は上映をやってる地域で盛り上がれば、やっていない地域でもかかる可能性があるので、頑張ります…(あんまり観客が考える領域ではないのですが)

 

 

1人でも楽しめる人が増えますように。
あわよくば、他のNTL作品も観てくれますように。

ちなみに、「リーマン・トリロジー」面白かった!他にもある?という方向けには…

次回、8/5からNTL「プライマ・フェイシィ」が控えています!なんと本国のスタートは7/21なので、2週間ほどで日本で観れちゃうのは史上初!こちらもぜひぜひ〜!

www.ntlive.jp

 

*1:ただしこの映画館は代表がパワハラで告発され、訴訟まで発展し、和解はしたが被害者側は円満的な解決には至っていないと声明を出しており、その後の進展が報道されていないので改善されているのかかなり疑問が残る映画館である。

終わらないアップリンク問題 ハラスメント告発のあとに | 文春オンライン

*2:£9.99/月、作品は豊富だが、上演されているすべての作品は入っているわけではない。英語字幕のみ