熱に羽化されて

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ループしてクリアを目指せ!映画『コンティニュー』感想

フランク・グリロが主演の殺し屋が沢山出てくるループもの」だけで観に行ったら予想以上に最高of最高だった…!
ンモー大好きなやつ!
人がバタバタ死にまくるしループの見せ方も良い!
基本はテンポがいいのでノリノリで観れる!
ゲームっぽい作りの画面と芯は自分の大切なもの探しというレトロな作り、良さしかいない。

 
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劇場でポスター撮れず、パンフ売り場の写真で失礼。
 

あらすじ

元デルタフォースに所属していた主人公ロイ(演:フランク・グリロ)は、殺し屋たちに狙われる日を繰り返している。自分がどうして狙われているのかも分からないし、殺されるとまた同じ一日が始まるのもさっぱり不明だ。
鍵を握っているのは元妻のジェマ(演:ナオミ・ワッツ)のようなのだが、彼女の元に辿り着くのは不可能な状況に陥っている。
果たしてロイはタイムループを脱出できるのか?
 
 

感想(以下ネタバレのみ)

 
初っ端からアクションシーンで畳みかけ、ぐいぐいと引っ張ってくるので楽しい!しかもこれまでのタイムループものとは違うのが、いきなりもう繰り返して暫く経ってからスタートというのがいい。なので起こる出来事に対して慣れっこになり、なんなら既に飽きているような状況が新鮮に観える。
この繰り返しで手詰まってる感じ、すごくゲームっぽい…最初の文字の出方から劇中での登場までゲーム好きな人が作ったんだろうな、とにっこりしてたらジョー・カーナハン監督でびっくりした。全然知らずに観てた。
ゲーム的に繰り返して強くなる作品は『オール・イズ・ニード・キル』が挙げられるけど、それとはまた違う感じで楽しめた。

何度も繰り返して一つ手がかりを得て以前よりも先に進む…を繰り返すうちに、自分の過去の失敗から学んで家族のために成長しようと主人公がもがく様がとても良かった。
職業柄、家族との時間を取れないだろうことは想像に難くないけれど、そこから努力してこなかったツケが現状だと認識して、変わろうと行動することに意義がある。
そういうテーマが割としっかり出てきてて良かった。家族こそ大事!とまではいかないけれど、自分勝手なだけではないことをこの特殊状況下だからこそ理解して、選択し直す様にグッとくる。
途中で投げやりになるシーンが挟まったのが後の粘り強さに繋がっていくのがとても良かった。人間だもの、嫌になりたくもなる。
だからこそ後半に出てくる「諦めねぇぞ」という台詞が好き。痛みを繰り返しても必ず辿り着く気概が伝わってくる。
それもある意味コンティニューなんだよね。人生は続いていくから、他者とのすり合わせや相互理解、諦めないことを続けていくしかない。


フランク・グリロのアクションも多彩で、よう動くなこの人…としみじみする。
そういえばフランク・グリロの映画観たいなと思ったのは、彼が主演の映画だからなのもあったけれど、以前ポッドキャストで妻役が若いとゾッとする…みたいなこと言ってたのも理由の一つ。
それもあってか、ナオミ・ワッツが52歳で年齢差も気にならないカップルで良かった!
それで言うと行きずりの彼女が若くて完全にカーナハンっぽくて笑っちゃったんだけど、あれは一応投げやりでダメな時に手を出しており、かつ実は敵の扱いだったからセーフかな…まともな人間がやることではないよという目配せがある。
そして息子役が実際にグリロの息子さんのリオ・グリロで、親子共演!ファンには嬉しいやつ!とニコニコした。
この息子が1980年代のレトロゲームが好きで、それを通して遠かった親子(しかも親子とは伝えられていない…)が交流する様はベタだけど染み入るものがあり。ただゲームをするだけでなく、一緒に過ごすことと、会話を沢山したことで相手を知っていくことがきちんと描かれているのもいい。
他にもゲームだけでなく、映画の小ネタもふんだんにあり、好きな人にはたまらない塩梅。
しかし一方で、メル・ギブソンのこと全く気づいていなくて、最後に「あっあれメル・ギブソンだったのか…」と思ってしまった。分かんないものは分かんないんだな…
メルギブ演じるキャラクターが極右で「このファッキン左翼め!」とか言ってて笑ってしまったんだが、これは笑うところでいいんだよな…?
 
というかミシェル・ヨー様が出てくるの知らなくて叫びかけた。ケン・チョンが出てる時点でニコニコしてしまったのに、「剣の達人だ!」といわれたその先にいたのがミシェル・ヨーでえっカメオ!?贅沢過ぎんか!?その設定後でちゃんと生かすんだろうなオイ!?と思ったらちゃんと生かされたのでほっとした。
いやシーン短いけどミシェル・ヨーが師匠でフランク・グリロが弟子って激アツじゃないですか!?
あの辺も編集がいい感じにザクザクレベルアップしてる感じに進んでいくので文句はないんだけど、もうちょっと色んな掛け合いしてるのとか見せて…!何故なら私が好きだから…!となった。
ミシェル・ヨーが出てくる映画は最高。ミシェル・ヨーの昔の出演作をちゃんと観たいなと思いつつ未だ出来ていないけれど…
とか書いてたら、ミシェル・ヨー、めちゃくちゃ予告で出ていた。笑
 
劇中に登場する殺し屋たちも皆個性が尖り過ぎてて、これもゲームのキャラっぽい楽しさがあってよろしかった。
殺し方も人によって全然違うので、そういう手管が多いと楽しい。
私的にはエスメラルダとパムのコンビが好き。エスメラルダをもう少し掘り下げてよー!
観音(原語ではグァン・インかな?)がガッツリ出番あって良かった。決め台詞で何故か風が吹くの笑ってしまう。
極右のボスが「これカタナ?」と聞くのに対して「いや中国だから」って注釈入れる所良かった。人種認識が雑な奴が悪役なの、良い。
セリーナ・ローさん気になる!
 
音楽は結構懐メロっぽい選曲で、これも楽しく観せるのに一役買っている感じ。
ぶっちゃけ劇伴自体はあまり印象に残らなかったけれど…
 
しかし何より良かったのは、最終的に主人公の安否を描かなかったこと。
人によっては「肝心のループ脱出が成功したのか失敗したのかちゃんと映画内でケリつけろ!」「ラストが微妙」とも思うのだけれど、今の私にはこれが良かった。
というのも主人公のロイは元タスクフォースで、仕事とは言えバンバン人を殺しまくってる人。そんな彼に安易にループ解消して世界は元に戻り、元パートナーと子供とも仲直りして今度こそ幸せな家族としてやり直させる…という未来を映画として与えなかったことが誠実だなと思う。
人生の選択でミスをした人間がやり直せるというテーマと、殺人ばかりしてきた彼がやり直したからといってその罪は償えるのか?という部分の重さを、あのラストでバランスを取っている。そこまで重く考える映画ではないのかもしれないけれど、線引きを割としっかりしているなと感じた。
なので世界は戻ったけど主人公は死んじゃった、というエンドもありうる。
それを観客の解釈に委ねているのが、映画によっては「なんじゃい最後ほっぽりおって」と思うのだけれど、この映画に関してはやっぱり誠実さを先に感じたんだよな。ジョー・カーナハンの映画にそこまで誠実さって感じたことないんだけども。プロデューサーにグリロさんがいるからかしら。
ゲームっぽい映画と考えると、クリアしたか分からないのはスッキリしないというのも分かる。
でも大変面白かったです!満足!
 
ちなみに日本語字幕では死んで蘇る回数が「トライ ◯回目」と出てくるのだけど、原語では「attempt ◯」で、最近attemptの単語が覚えられないとジタバタしていた私にはグッドタイミングだった。ありがとう。しっかり身についた。