熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

根源に立ち返る

ぽっぽアドベント2021主催のはとです。

長いようであっという間の12月、最終回の25日目。毎日もしくは一気に読んできたそこのあなた、これで最後なのでよかったら最後まで付き合ってください。

 

月日が流れるのは恐ろしいもので、アドベントカレンダーの企画は、今年で3年目である。

初めての年は2カレンダー50記事の内2記事を担当した。

adventar.org

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次の年は3カレンダー75記事の内の1記事を書いた。

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そして今年は1カレンダー25記事の内の1記事の担当である。

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通算で、150記事読んで、4記事書いた。そしてようやく分かったことがある。

 

 

「私、書くより読む方が好きだわ」

 

 

元々この企画は、以前にも語ったがオタクの熱量高い話を読みたいと思って始めたものだ。

自分も書いてみたい気持ちも当然あったのだけれど、こんなに主催として幅を利かすのであれば、おそらく運営に徹した方がよっぽど楽だ。(そもそも、web上のアドベントカレンダー企画で、こんなに主催がでしゃばってる企画、そんなにないと思うので、そこは私の裁量の振り方の問題でもあるが……)

 

 

そもそも振り返ってみると、物心つく前から本や文字を読むのが好きだった。

幼稚園の時、ブランコに乗るために行列に並んでいる時間で本を読んでいた方がいいなと思って、実際その通りにしていた。

友達の家に行っても、本棚の前で座り込んで読み始めてしまい「せっかく来たんだから遊びなよ」と親に怒られていた。

小学生の頃も、友達と遊んでいるよりも本を読んでいる方が好きな子だった。もしかしたらこれを読んでいるあなたか、その周りにも、そんな子がいたかもしれない。

ある時教室の前のホールみたいな所で朝本読んでたらチャイムが鳴ってるの気づかず、読み終わって顔を上げたら授業が始まってから20分くらい経っていることに気づいて慌てて教室に飛び込んだこともあった。

毎日給食の時間になると、牛乳の成分表示を読んでいた。冬と夏では脂肪分の数値が変わることを知った。

中学の時は授業がつまらなくて、ずっと本を読んでいて先生に怒られ、それでも読むのをやめずに喧嘩したことがある。あの時読んでいたのはナルニア国物語の『銀のいす』だったと思う。

中学校まで歩いて30分弱かかるので、その間1人で下校する時は暇だと思って本を読みながら帰っていた。絶対車道ではやらないという制限付きで。

夜中まで『ダ・ヴィンチ・コード』を読んで「もう寝なさい」と怒られて、それでも続きが気になって、家の全員が寝静まってからバレないようにトイレに移動し、朝4時に読み終わるまで読んでいたこともある。

高校の進学先も立派な図書館があるから、という理由が大きかった。

本だけに飽き足らず、漫画も読んでいた。定期的な小遣いをもらっていなかったので、お年玉で買い込むか、友達に貸してもらうことが殆どだった。

以前にも書いたが、中学まではドラマも映画もほとんどアクセスができなかったため、娯楽が限られていたというのも大きかったと思う。

 

 

そんな学生時代を送っていたわけだが、では今はどうかと言われるとーー大方の予想通りであるが、これが恐ろしいまでに読んでいない。

私の本棚の半分がまだ読んでない本ではないだろうか。怖い。買うだけ買って満足してしまうこの頃である。一体何をやっているんだ。はい、映画や舞台を観て、ゲームの周回をしていました。娯楽に簡単にアクセスできるようになると、選びたい放題で困っちゃうね!

ただ、読めていない原因はそれだけではない。

 

本をーー特に物語をーー読み始めると、その間は人生のほとんど全てのことが後回しにしてしまう悪い癖が、未だに直っていないからである。

 

私には好きなことが沢山ある。でも、大抵のことは生活と折り合いをつけながら生きている。けれど本だけは例外だ。家で映画なら中断出来るのに、本だと出来ない。明日仕事があろうがなかろうが、ひとたび面白くなってしまうとやめられなくなってしまうのだ。理性が全く働かない。
食事も忘れる。お腹が空かなくなる。普段の様子を見ている人ならご存知かもしれないが、私は大変に食い意地が張っている。そして見かけたものはすぐに食べたくなってしまう。食のエッセイなどで美味しそうなものが出てくると、確かに食べたくなるしその時はお腹が空くのだが、それが止めるきっかけになってくれない。
体温調節も出来ない。気づいたら外の気温よりも寒くなった自室*1で本を抱えている羽目になり、足が痛くなって立てなくなるほど冷えてしまい、その後まともに歩けるまでに数十分を要する、みたいなことが度々発生する。
人の呼びかけにも気づかない。音が一切聞こえなくなるので、本を読んでいる自分と世界が切り離されてしまう。昔から母親に「何度も呼んだのに」とブチギレられているのだが、そもそも聞こえていないので呼ばれているという事実が私にはないので、どうしたらいいのか分からない。結果、肩を叩かれたり物理的な邪魔をされることで、ようやく本から顔をあげられる。
かろうじて行けるのはトイレくらいである。これも忘れるようになったら本当にやばいけれど、読んでる間は割とかなりギリギリまで我慢してしまう。多分映画観てる時より我慢している。
環境が変わっていることに対してそもそも気づかないか、気づいてもどうでも良くなってしまうのだ。電車の中で本を読んでいると、特に帰宅時は本が面白いから最寄りの駅に着いても電車を降りずに読み続けてしまうことがある。もしくは降りてもそのまま駅のベンチで読み続けて帰るまでに時間がめちゃくちゃかかる、みたいなことをやってしまう。
気づいたら、周りの人間に「本ばっかり読んで!」と怒られていた。たまに「お小遣いは少ない/ないけど、本だけは買ってよし」というご家庭を見かけるのだが(親御さん側としてそういう方針をとっている方と、子供だった時にそうしてもらっていたという方も、どちらのパターンも)、我が家でそれをやったら間違いなく破産するか、その前に本が家に溢れ返るかのどちらかになっていたと思う。

 

このように本を手に取ると大問題が発生しがちな私にとって、Twitterは素晴らしいツールだと言える。開けば手軽に文字を読める喜びと、一つが140文字で済むので中断がしやすい。けれどリンクを辿れば延々ともっと長い記事だって読めるし、それこそブログやらサイトやらネットサーフィンやら、果てしない海に繰り出そうと思えば繰り出せる。手に持っているのが本からスマートフォンになったことと、眼球の動きが上から下へよりも左から右への方が圧倒的に増えたことくらいしか変わっていないような気もするが、このバランスは結果的に良かったのかもしれない。まだ生活を投げ出さないくらいに私の理性が保ちつつ、文章を読みたい欲求も程よく解消されている。それでもタイムラインを延々と遡ってしまう時もあるし、生活を侵食しかねないこともあるので、今年はTwitterを意図的に見ない時間を少しだけ増やした。本当に微々たるものであるが……

 

それでもここ何年の中では、割と本を読んでいた年でもあった。

今年初の本は、はやみねかおる*2『めんどくさがりなきみのための文章教室』だった。これは名著なので読んでほしい。タイトルの通り、文章を書くのが苦手だったり面倒だったりするタイプの人への指南書である。

本で物語を読むというよりは、ハウツー本やエッセイを読むことの方が多くなっていた。

物語は映画やドラマで、本は情報を得るため、という区分けがなんとなくできてしまっていたのである。小学生の私が知ったら驚くだろう。

他にも『阿佐ヶ谷姉妹 のほほんふたり暮らし』やら『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』などのエッセイ、しかも女たちが一緒に住むばかり読んでいた。細かく章立てされているので、途中で止めやすいのだ。それにエッセイは、ネットで読める体験レポなどに近い。こういう話はスッと読めていい気持ちになれるので、気軽に手を出してちゃんと読み終わることが出来る。ちなみに『女ふたり、暮らしています。』はちょうど今家にあるので、これから読む予定である。

そうやって、本気でのめり込んで我を忘れそうな物語は巧妙に避けた読書をしていたのだが、私をティーンエイジャーに戻すのに十分な一冊に、今年は出合った。

 

 

それが『チャーメインと魔法の家:ハウルの動く城3』である。

 


知ってた? 『ハウルの動く城』シリーズが三部作だったこと。どのお話も主人公がハウルじゃないこと。

一作目の『魔法使いハウルと火の悪魔』がとても好きで、スタジオジブリが映画化した時は「こんなの全然違う!」とキレ散らかしていたのを覚えている。スタジオジブリの実写化において最も評判が悪いのはブッチギリで「ゲド戦記」だと思うが、当時の私にはハウルも殆ど同じくらい嫌いだった。今は緩和されているし映画版の良さもあるが、それでも映画ではなく小説の方を薦めたい作品である。

魔法使いハウルと火の悪魔』の主人公ソフィーは、三姉妹の長女である。同じく三姉妹の長女だった私は、この設定をいたく気に入っていた。単なる長女の話は別に少なくないが、「三姉妹の」とつく長女の話はそこまで多くはない。彼女の家庭環境は私と大いに異なっていたが、それが映画版だと様々な設定がなかったことにされており、ソフィーの妹も1人になってしまった。これが好きになれない理由の一つである。(あとマルクルを子供にしたのも結構怒っているしサリマンをヴィランにしたのもあまり好きではないし、何より自由を謳歌し始めるソフィーがほぼなくなってしまったのがとこの話を始めるとそれだけでひとつ記事を書けるので、この話は別の機会で)

そんな繰り返し読んでいた本の一つだが、続編の『アブダラと空飛ぶ絨毯』は全く好きになれずに、一度しか読んでいない。そこで私とこのシリーズのつながりは途切れていたのだが、たまたま図書館でばったり出会ったのがこの本である。そもそも3作目があることすら知らなかったので「まだこのシリーズ続いてたんだ!?」と驚いて借りたのだった。

 

『チャーメインと魔法の家』の主人公はやはり魔法使いハウルではなく、このタイトルになっているチャーメインという少女が、本が好きで本ばっかり読んでいて、全然家事や他のことをやらない、という子だった。3ページくらい読んで確信した。

 

この子、私と、めっちゃ似てる。

 

身だしなみにもあまり気を使わず、本を読んでいれば幸せ、でも美味しいものを食べるのは好き、気が強くて好きなもののためなら行動力を発揮する、などなど読めば読むほど、感情移入してしまった。こういう感覚になるのは久しぶりだった。ページを捲る手が止まらなかった。

話自体は大分説教くさい部分もあるのだが、舞台である家自体が未知の世界になっており、見知らぬ生き物が登場し、とんでもない冒険に巻き込まれたり自分から突っ込んでいくのを、一緒に楽しんだ。うんざりしながらも「やったらあ」みたいな心構えで進んでいくチャーメインが久しぶりにメキメキとのめり込み、あっという間に読んでしまった。かつて親しんだ懐かしい人たちにも再会したのも、とても嬉しかった。元気だったかい、君達。これがシリーズものの醍醐味の一つだ。

読み終わって思った。ああ、こんなに楽しかったんだ。本を、物語を読むことが。

 

そして私は今年めちゃくちゃ本を読むように……なったのならば綺麗に話がまとまったのだが、残念ながらそうはならなかった。私の本を手に取るペースは相変わらずのんびりしていたし、小説でもせめて短編集からとリハビリのような感じで恐る恐る手に取るくらいだった。

漫画もめっきり読む数が減っていたのだけれど、今年はDMM70%OFFセールによって『琥珀の夢で酔いましょう』『大奥』『東京リベンジャーズ』などを一気読みしていた。あと、各出版社が期間限定で無料公開しているのにあやかって、途中まで読んでいた『桜蘭高校ホスト部』を完走し、触れないまま生きてきた『HELLSING』を一気に読んだ。ちなみにヘルシングは最後の最後で期限に間に合わず、10巻だけ買って読んだ。

漫画は電子書籍の方が圧倒的に手に取るまでが早い。kindlehontoDMMの間を、クーポンの出ている方向に反復横跳びしながら色んな漫画に手を出している。

 

と、ここまで書いていて気づいたのだが、基本的に私「ビンジウォッチ」もとい「ビンジリード(一気読み)」しかできないんじゃないか!?!?

漫画を週刊連載で追えずに、コミックスで(出来れば完結していると良い)読んでいるのにも納得がいく。

ドラマも基本的にビンジウォッチしてばかりである。さらに言ってしまえば、書くのも毎日コツコツというのが出来ずに(それでも今年は割と書いてた方なんだ、本当なんだ信じてくれ)、現在ビンジライトしている……

 

こういう性分なのだな、というのが分かったところで、テーマに立ち返ろう。

 

私の望みの歓びよ。

それは、全てを忘れて本を読みたい。

 

はっきり言って仕事をしている時は無理で、そして体調が悪すぎても出来ないので、難しかったのだな、という気がする。

なので残り少ない今年は、普段より出来るだけ環境を整えて、全て忘れてもいい状態で、思う存分本を読もうと思う。積読山脈を切り崩し、消化に励むとか、読書筋を取り戻そう……とかそんなことは考えず、ただ面白いであろうものに向き合うのみだ。映画も舞台も友達と遊ぶのも今は全部大好きだし、できればそれらも削りたくない。でもちょっとだけ、私が一番最初に好きになったもの、本に浸れる時間を増やそう。幸いにして、本は沢山あるし、ものすごく分厚い数万円の本*3もあるし……今年はそうして締めくくりたい。

なのでそろそろこのアドベントもおしまいだ。アドベントの記事を読む幸せも、自分が書く苦しみも、もう存分に味わった。
なので筆を置いて、自分の楽しみに浸ろうと思う。

皆も思い思いに、あなたの望みの歓びに浸れるような、そんな日であってほしい。

 

できれば子どもの頃から本に出合うきっかけがあってほしい、と思って今年はブックサンタにも参加した。

ibara810.hatenablog.com

そう、この話につなげるための布石の記事だった。ブックサンタをずっとやりたかったのは本当。

 

去年はフリートで告知をしまくっていたが、今年はTwitterにはフリートがなくなり、代わりにスペースが出来ていた。

なので12/30の夜辺りに今年のぽっぽアドベントを振り返ろうスペースでもやろうと思います。告知はまた改めて。

 

それでは、ハッピーホリデー!

 

 

 

 

 

P.S.

最後に聞きたいのだが、世の読書家の皆様は、どうやって本と世界の折り合いをつけているのだろうか。なんで途中でやめられるの? もしコツがあるなら、是非ご教授ください。

*1:家の構造上なのか何なのか、マジで馬鹿みたいに寒くなってしまう。関東基準ですが

*2:大人気の児童文学作家。来年は彼の著作『怪盗クイーン』シリーズがアニメ映画化するのでよろしくお願いします。ジョーカーの声優が加藤和樹なんだよ!

*3:詳注版『カラマーゾフの兄弟