熱に羽化されて

好きすぎてこじらせたうわ言や思考の整理など

和菓子に目覚める

今週のお題「何して遊ぶ?」

 

今年に入って、初めて自分の住む町の和菓子屋さんに足を踏み入れてみた。私の町は住宅街だらけで大した店はほとんどないのだが、唯一栄華を誇っている洋菓子屋がある。いつも混んでいて、休日は店内がごったがえしているので行くのを躊躇うほどだ。そんな町の駅の反対側に、和菓子屋があるのは知っていた。知っていたのだが、ついぞ入ったことがなかったのである。それは我が家の母が和菓子全般が好きではなかったためだ。彼女は小麦を愛し過ぎている。おやつに和菓子など出たこともなかったし、買う所もほぼ見たことないので、そもそも存在がぼんやりとしていた。そんな母から英才教育を受けている私も小麦を愛しているので、クッキーやらマドレーヌやらの洋菓子の方が日常にあるお菓子であった。

そもそも和菓子の種類もあまり分からないし、どんな味がするのかも想像がついていない。幸いにもあんこは好きだったので、羊羹やら大福などは好きではあったが、やはり自分で勝って食べようという所まで至らないのであった。

そうなのだが、近所の店を知らないのもな、と思って先日何の気なしに入ってみた。男性と女性が1人ずついるこじんまりした小さな店で、なんとなく薄暗い。ガラスケースの中に並んでいる和菓子たちをしげしげと眺めてみた。団子はみたらしが一本だけ、あんこは売り切れていた。

家族のためにいくつか買ってみたが、正解がどうか全然分からなかった。

自分用にはきんつばとみたらし団子を買った。一緒にいた家族がさりげなく一番高いいちご大福を一緒に頼んでいた。

どれも初めて食べるものではないのだが、なんだか妙に美味しかった。

みたらしって好きな味だな、と食べる度に思う。お腹に溜まるなと思ってお腹すいでる時のおやつにしかしないのだが、たまに噛みしめると良い。

きんつばも思ってるより全然甘さが控えめで美味しかった。いくらでも食べられるとは思わないけど、これくらいならぺろりといける。

 

 

というのが2月のことだったのだけれど、この間、こどもの日に柏餅を買ってみた。

というのも、たまたま外に出て店の前を通ったからだったのだが、これまで柏餅を殆ど食べない人生を送ってきた。3人姉妹でこどもの日に何かすることがなかったので、縁遠い食べ物だったのだ。

それをなぜ急に食べたがったかというと、数年前に遡る。美味しいものを沢山知っているインターネットの友人が、こぞって「柏餅は味噌餡が美味しい」と言っていたのをずっと覚えていたのだ。スーパーやコンビニで買うのは味気ないかな…と思いつつ、気づけばゴールデンウィークが終わるのを繰り返していたので、結局味噌餡の柏餅を見かけることさえなかったのだったが、今年はふと和菓子屋のことを思い出したのだった。

3ヶ月ぶりにお店に入ると、ショーウィンドウの下の方に柏餅がずらりと並んでいた。こしあんつぶあん、そして味噌餡があった!

家族用にこしあんつぶあんも買いつつ、味噌餡の柏餅も買った。

「初めて食べるんですよ」と言うと、おじさんが「俺が作ったから美味しいよ!」と太鼓判を押してくれた。こういう誇りを持つ人が好きだなと思う。

ほくほくしながら帰って食べた味噌餡の柏餅は、そりゃあ皆美味しいと言うわなという納得の味だった。見がしょっぱいけれどそこまで主張するわけでもなく、甘さが品良く引き立っている。みたらしが好きなら好きな味だわなと思った。ピンク色になった餅を食みながら、まだまだ知らないことだらけで、それを知っていくのが人生なのだなと悟りを開いたようなことを考えていた。